HSK中級(3級・4級)のリスニング攻略法

HSK(汉语水平考试)とは中国政府認定の中国語検定であり、
中国語以外の言語を母国語とする外国人を対象に、中国語での実際のコミュニケーション能力の測定を行うことを主眼としているために実践的な資格とされています。

そのような試験だけに、日本国内の他の中国語関連の試験、例えば中国語検定試験やTECC(中国語コミュニケーション能力検定)などに比べて、
リスニング問題はスピードも速く、口語的であったりして難解であると感じる人が多いようです。

また、HSKの級位は1級、2級、3級、4級、5級、6級の全6段階に分かれますが、どの級も問題に関する日本語の説明は一切なく、
いきなり何の予備知識もなくぶっつけ本番で受けた場合は、初っ端から何をどう解答していいのかわからず、それだけで得点を逃してしまいかねません。

そして、HSKのリスニング問題の音声は1・2・3級こそ二回流れてますが、4級からは一回しか流れません。
聞き逃したらアウトなのです。

リスニング問題の難易度が上がるのも言うまでもありません。

本稿ではHSK中級(3級と4級)のリスニングに関しての記事ですが、主に4級のリスニング問題について実際に出題された問題を掲載し、「本番に向けてどのような準備が必要か?」も含めて解説します。

リスニング問題の形式

公式的に、HSK4級は1200語程度の常用単語と文法知識を習得している方を対象とし、
目安としては大学の第二外国語における第二年度後期履修程度です。

具体的には「幅広い範囲にわたる話題について、中国語でコミュニケーションをすることができ、中国語を母語とする者と流ちょうに話すことができる」か否かが問われます。

すなわち、中国人と任意の話題について会話ができるくらいの能力を有している必要があるため、そのリスニング問題の難易度もおおよそ察しがつくことでしょう。

単語が部分部分でしか聞き取れないレベルでは厳しいということです。

どころか、複数の文章をブロックで聞き取れて、おおよその内容を聞き取れるレベルである必要があります。

百聞は一見に如かず。
本稿では4級の実際のリスニング問題を例にとり、その解説と対策を論じていきましょう。

リスニング問題の始まり

まずは音楽が鳴り始め、
中国語で「皆さんこんにちはHSK4級試験にようこそ!」が三回繰り返され、
次いで、同じく中国語で「HSK4級リスニング試験は三つの部分に分かれ、計45問です。これから試験を開始します」とアナウンスされます。

以降も同様にすべて中国語です。

ちなみに4級のリスニング問題は45問で、時間は約30分間、その後に5分間の解答記入時間が設けられます

前述のとおり、問題文が一切記載されていません。
ですから最初に設問が何であるかを知っておかないと、それだけで貴重な時間を使って頭をひねってしまうことになりかねません。

以下にその設問を具体的に解説いたします。

第一部分 正誤判断の問題

音声部分

短文が放送され、その内容と、問題用紙に与えられた★の部分の短文の内容が一致するかを判断します。(1-10)


上が実際の音声です。

最初に例が出され、「我想去办个信用卡,今天下午你有时间吗?陪我去一趟银行?」というセンテンスの後、「他打算下午去银行」と放送されます。

次に「现在我很少看电视,其中一个原因是,广告太多了,不管什么时间,也不管什么节目,只要你打开电视,总能看到那么多的广告,浪费我的时间。」と放送された後、「他喜欢看电视广告」と放送されます。

これはつまり、最初に読まれた文と、後で放送される★の部分の文が合っているかどうかを判断して、√か×を記入するのです

解答用紙の問題部分

上の例の場合、「我想去办个信用卡,今天下午你有时间吗?陪我去一趟银行?」と放送されているので、「他打算下午去银行」はふさわしいことになりますので、「√」です。

次の「现在我很少看电视,其中一个原因是,广告太多了,不管什么时间,也不管什么节目,只要你打开电视,总能看到那么多的广告,浪费我的时间」ですが、「他喜欢看电视广告」はふさわしくありませんね。

ですから「×」です。

以下も同じ要領で解答します。

傾向と対策

リスニングの音声を聞く前に、問題用紙に書かれた問いを見てどんなことをスピーカーが話すのか大体のアタリをつけましょう。

しかし、HSK4級のリスニングからは完全に文章としてだけではなく、一つの話題として全体的に理解できる必要があります。
事実上の二択のこの問題でもそれは変わりません。

HSK4級に臨む前に、普段の学習で音声情報としての中国語を脳内にある程度の量蓄積させていなければそのように理解することはできません。

もしまだ単語一つ一つしか聞き取れないという段階の人は、文法書などでCDのスピーカーの発話に合わせて、同じ発音とスピードで話す訓練である「シャドウイング」を今すぐ始めてください。

音声情報はそういったシャドウイングの積み重ねで構築していくしかないのです。

正直申し上げて、それができないうちはこの4級のリスニングは霊感頼みになってしまうでしょう。

第二部分 会話の内容に関する問題

音声部分

2人の短い会話とその内容に関する問いが放送され、問いの答えとして正しいものを4つの選択肢の中から選びます。(11-25)



上が実際の音声です。
最初に例が出され、「女:该加油了,去机场的路上有加油站吗?」「男:有,你放心吧」という会話が放送された後、「男的主要是什么意思?」と放送されます。
それをA、B、C、D4つの選択肢の中から選ぶのです。

解答用紙の問題部分


「例如」では「女:该加油了,去机场的路上有加油站吗?」「男:有,你放心吧」と放送されているので、Dの「有加油站」がふさわしいことになります。

以下も同じ要領で解答します

傾向と対策

この第二部分も音声が流れる前に問題用紙の選択肢を確認するべきなのは言うまでもありません。

HSK試験を何度も受けた人ならお分かりのとおり、スピーカーが何を話してどんな設問なのかは事前にはわからないのがリスニング問題の特徴だからです。

そしてこの部分においてはネイティブのスピードで30文字程度の文ならば、文章として聞き取れるだけのリスニング力が必要になります。

リスニング力向上はやはり日々のシャドウイングなしにはあり得ないとしか言えません。

そして普段の学習においてシャドウイング以外でも、中国語を必ず声に出して読む癖をつけてください。
音声情報は聞くだけでなく、それを発話することによって脳内への蓄積や定着が加速するのです。

第三部分 会話や短文の内容に関する問題

音声部分

2人の会話や短文と、その内容に関する1~2つの問いが放送されます。問いの答えとして正しいものを4つの選択肢の中から選んでください。(26-45)



上が実際の音声です。

最初に例が出され、「男:把这个文件复印五份,一会儿拿到会议室发给大家」「女:好的。会议是下午三点吗?」「男:改了。三点半,推迟了半个小时」「女:好,602会议室没变吧?」「男:对,没变」という男女の会話が放送されます。

次いで「会议几点开始?」と放送されますが、これが問題なのです。

その答えをA、B、C、D4つの選択肢から選ぶのです。

解答用紙の問題部分


先ほどの例では、「改了。三点半,推迟了半个小时」と言っていたのでCの「3:30」が正解となります。

以下も同じ要領で解答します。

すでに3級からそうなのですが4級からはなおさら、単語を部分部分聞き取れるだけではなく、全体として把握できているかどうかが問われるようになります。

傾向と対策

第三部分は音声が流れる前にその設問の選択肢を事前に確認するのはもちろんのこと、会話文で、ある程度の長さがありますので内容のメモを取るようにしてください。
問題用紙にならメモをしてもかまいません。

音声だけだと数字、事物の相関関係等が頭に残らないからです。

試験の本番前に過去問題集を試す際に、メモをとる訓練を行うことをおすすめします。

記号でも絵でもいいですのですが、瞬時に書けるものがいいでしょう。
音声の内容をメモするというのはぶっつけ本番の一回目ではなかなかうまくできませんので、自分なりのやり方というものを本番前に工夫しておいてください。

これは今後上の級を目指す上でも有効な手法になりますので、今のうちにその習慣をつけましょう。

以上の問題は中国のHSK公式ホームページの汉语考试服务网からダウンロード出来ます。

編集後記

読解はそこそこできても、リスニングが苦手という人は本当に多いのですが、それは別におかしなことではありません。

どんな言語でもそうですが、リスニング力というものは、読解力よりも遅れてつくものだからです。

ただし、そのスピードを速めることはできます。

私がさんざんお勧めしているシャドウイングも有効なのですが
やはり、ネイティブとの会話、どうしても中国語を聞いて話す必要のある状況に自分を何回も置けばおのずとリスニング力がアップするはずです。

上手くコミュニケーションができなくて、ばつが悪い思いを十回や二十回してもいいんです。

リスニング力も含めたその言語の語学力は、ネイティブを相手に上手くできなかった悔しさの総量に比例するのですから。

その思いを重ねれば重ねるほど、
リスニングもスピーキングも難なくできるようになった自分になれる日がより近くなることでしょう。