HSK3級の合格対策・方法


HSKとは?




HSKとは中国政府認定の中国語検定であります。
正式名称は「中国語レベル試験」を意味する「漢語水平考試」、ピンインという中国語のアルファベット表記でHàn yŭ Shuǐ píng Kǎo shì の頭文字を取ってHSKと呼ばれております。




HSKは中国語以外の言語を母国語とする外国人を対象に、中国語での実際のコミュニケーション能力の測定を行うことを主眼としているために実践的な資格と世界的に認知されております。
日本国内には他に中国語検定試験やTECC(中国語コミュニケーション能力検定)などの中国語関連の資格がありますが、HSKの権威には及びません。




HSKの級位は1級、2級、3級、4級、5級、6級の全6段階に分かれ、日本の多くの資格とは逆で、1~2級が初級、3~4級が中級、5~6級が上級となります。
1~2級はリスニング、読解という2つのセクションで構成され、3~6級はリスニング、読解に筆記作文を加えた3つのセクションで構成されています。
それらのセクションにはそれぞれ制限時間が設けられており、それを過ぎると次のセクションの問題に移らなければなりません。
つまり、ヒアリング試験の時間が終わると読解の時間になり、ヒアリング試験の解答を記入したり書き直したりすることは許されません。それは読解が終わって作文の時間になっても同じです。
また、中国語検定とは異なりHSKの問題はすべて中国語で書かれているのが特色です。




このように、中国語検定に比べて少々やりにくそうなHSK試験ですが、受験して級を取得することには大いにメリットがあり、いいことづくめと言っても過言ではありません。




まず、HSKで級を取得することで中国国内の大学への正規留学を希望する際に要求される中国語能力の証明となるからです。
留学だけではなく、現在では日本国内の大学入学試験においてもHSK資格取得者に対する優遇措置(合否判定考慮や出願条件等)を実施している大学・短大が増加してきています。
我が国の国家資格である「通訳案内士」の中国語通訳案内士試験でも、HSK6級の取得者は一次試験の中国語筆記試験を免除されるという特典があります。
また、中国を対象とした企業・機関への就職にあたっては最も有効な中国語能力を証明する証拠ともなりますし(就職の際には、基準として4級以上)、駐在員に対しては、中国の外国人労働者に対するランク付けでHSKの資格が就労ビザの発給にもプラスになります。
もちろんキャリアアップに大いに資することも可能となることでしょう。




よって、これから中国にかかわって行こうとする人にとってHSKは未来を切り開くカギの一つと言ってもよいのです。




また、純粋に中国語学習を趣味にしている人にとっても自分の実力の公式な証明とすることができ、モチベーションのアップにつながることは間違いありません。




将来のために中国語を勉強している人はもちろん、楽しみで中国語を勉強している人も、ぜひ挑戦することをお勧めいたします!




HSK3級の難易度




皆さんがこれから受験しようとするのは3級ですが、その難易度はいかがなものでしょうか。




まず、公式にはHSK3級は600語程度の常用単語と文法知識を習得している方を対象としています。
すなわち、「中国語を使って、生活、学習、仕事等における基本的なコミュニケーションができ、中国旅行の際も大多数の場合において中国語で対応することができるかどうか」が問われるのです。




おしゃべりや会話は無理でも中国や台湾で買い物や食事ができる中国語力に相当します。
中級の手前の初級と考えてもいいかもしれません。
そして、3級からは本気で勉強していることを証明できるレベルに突入します。
よって、1級や2級にはなかった作文のセクションが加わり、設問形式が変わり問題数も増えます。




対象となる学習時間の目安として大学の第二外国語における第二年度前期履修程度とされています。




HSK2級を受験された方の中にはお分かりの方もいらっしゃるかもしれませんが、2級は「300語」ですから、単純計算で難易度は二倍に見えます。
ですが「600語」は漢字を知らないヨーロッパや中東の人に対してならばともかく、漢字をある程度知っている我々日本育ちの人にとって、さほど高度な要求ではありません。
「学校」や「汽车」など、日本語と同じかある程度意味を察することができる単語も含みますから、600語よりいく分マイナスと考えてもよいからです。




また「大学の第二外国語における第二年度前期履修程度」もかなり敷居が高く見えますが、大学の第二外国語とは、毎日二時間や三時間も学習する必要のある科目ではないのは世界のどの大学でも同じです。




専攻科目の片手間でやってそれくらいを想定しているのです。




ですから、HSK1級も2級も受験したことがなく、「ニイハオ」や「シェーシェー」しか知らない、中国語を始めたばかりの初心者の方でも、これから6~8か月間本気で取り組めば3級合格も難しくないのです。




HSK3級の試験スケジュール・点数配分・合格点




試験日程・会場



2021年度のHSKの試験日程と会場ですが全部で12回行われることとなり、第1回目と2回目がすで終了して3回目を受付中ですから(2月27日まで)、残りは10回です(2021年2月16日現在)。
ただし、この中には全国の主要都市で開かれるものもありますが、「特別準会場」という企業や大学など団体が独自で実施する試験会場での開催となり、一般の方が個人で自由に申し込みの出来る「公開会場」ではない場合があります(一般の受験者が参加できるものもあります)。
詳しくは2021年2月時点でのHSK公式ホームページでご確認ください。




また、現在は昨今のコロナ禍により試験会場入場前に体温測定が行われ、試験中もマスクの常時着用が義務付けられています。
試験当日は家を出る前にご自身の体温を測定し、マスクを着用して試験会場に向かってください。




試験当日スケジュール



HSK3級は以下の流れで試験が行われます。





  1. 試験開始・注意事項の説明

  2. 必要事項の記入

  3. 問題用紙の配布

  4. リスニング試験(約35分間)

  5. 解答用紙への記入(約5分間)

  6. 読解試験(約30分間)

  7. 作文試験(15分間)

  8. 試験終了





試験時間は短く、リスニングは40問を約35分間、読解は30問を30分間、作文は10問を15分間で解答しなくてはなりません。
総じてHSKの試験は、感覚的に中国語検定と比べて時間が短いものなのです。




そして、リスニングの時間やその後の解答用紙への記入時間に、早めにできたからと言って読解や作文の問題を解答することはできません。
見ることも不可です。




また、リスニングの試験時間の後に設けられる解答用紙への記入時間が終わって読解の試験時間が始まると、リスニングのセクションの解答用紙への記入も一切出来ません。
作文の時間になってもそれは同じです。




解答も記入も見直しも、それぞれのセクションの時間内で行ってください。




また、これは少々厄介なことなのですが、早く解答が終わったからと言って途中で退席することはできません。
解答用紙、問題用紙が回収されて数量確認が終わり、監督官が試験終了を宣言するまで待ちましょう。




点数配分・合格点



リスニング、読解、作文いずれも各セクションの配点は各100点、合計300点満点です。
合格ラインは総得点180点以上、つまり全体の6割の点数が取れれば合格です。
各セクションに基準点はなく、例えばリスニングが6割未満であっても読解や作文で高得点を取ってカバーし、全体が6割に達すればよいのです。




しかし、最初から6割を目標にすると往々にしてそれ以下しか取れないような勉強をしてしまいがちになり、試験当日もそのくらいの実力しか発揮できないことがあります。




ですから、私は皆さんに敢えて言います。
目標は大きく、3級は満点を狙っていきましょう!




HSK3級満点合格のための試験対策ポイント




その1:彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず



どんな検定試験でもそうですが、試験の前にHSKの過去問題を解いて出題の形式や傾向を把握しなければなりません。
3級から初めてHSKに挑戦する方はもちろん、HSK1級や2級を受けたことがある方でも事前に過去問題をやってみるべきです。
3級からは作文のセクションが加わり問題数も増加する上に、ヒアリングや読解の出題の形式も変わるからです。




HSKは問題文がない上に問題の数に比べて試験時間が短く、それが何を問い、どう解答すればよいかを考えているうちに貴重な時間を浪費してしまいます。
設問の形式を最初から知っているか知らないかでは本番で大きな差となるのです。




3級から挑戦する方も、1級や2級を受けたことがある方も、普段の学習に加えて本番の三週間前までには過去問題や模擬試験に必ず挑戦してください。
それも本番と同じ時間配分で解答することをお勧めします。
それによってHSK3級の設問方法や解答の所要時間、難易度を体感し、足りないところがあれば事前に補うことも可能となるはずです。




まさに「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」なのです。




問題サンプル、過去問題は中国のHSK公式ホームページからダウンロード出来ます。一度チャレンジ、レベルチェックしてみてください。




3級の問題と解答は「新HSK(三级)考试大纲下载」「HSK三级真题与答案下载」「听力音频文件」になります。




その2:リスニングを制する者は試験を制する



リスニングがどうも苦手だ、という方は多いことでしょう。
文章になると簡単なのに、いざ聞き取ろうとするとどうして難しいと皆さんおっしゃいます。




なぜなんでしょうか?




それはその発音とスピードで話せないからです。
自分がリスニングのスピーカーと同じように話せない限り、聞き取ることは不可能です。
これは中国語に限らず、どんな言語でも同じです。




リスニング問題は、基礎的な単語を正確な発音でできれば、確実に解答できます。




そのためにはこれから中国語を始める方は普段の学習で、中国語を文章で読む時に黙読ではなく声に出して正確な発音をする習慣をつけてください。
リスニング力をつけるには、まず自分が発話できてこそなのです。




リスニング力をつける訓練は同時に文章を読む読解力の訓練にもなります。
だから、リスニング力があるということは読解力もあるということなのです。
つまり、リスニングを制する者は試験を間違いなく制します。




その3:単語は武器弾薬



語学を戦争に例えるならば、単語や語彙は武器弾薬です。
「武器弾薬」なくして「戦争」はできません。
HSK3級という今回の「作戦」にはご丁寧にも必要な武器弾薬数、すなわち必要な習得単語数が公表されており、それは600語が必要なレベルとされています。
HSK3級の問題の選択肢は、すべてこの範囲の単語です。つまりこの600語の単語さえ確実に覚えれば、100%勝てるということです。




試験範囲の600語は、『例文で覚えるHSK基本語彙集 1-4級』(白帝社)又は、中国のHSK公式サイトからダウンロード出来る単語リスト(新汉语水平考试(HSK)词汇)で確認できます。




単語を丸暗記するのではなく、その単語を使った例文ごと暗記してみることをお勧めします。




その4:紙に書く習慣もつける



読むだけ、見るだけでは脳に覚えこませるにはいささか力不足です。
読みながら、聞きながら補助的に紙に書いて覚えてください。
手を動かすことは大いに記憶に資するのです。
ましてや3級には選択問題ではない、文字を書く必要のある作文問題があるのです。
また、日本の漢字とは異なる簡体字に慣れるためにも書いて覚えることは不可欠です。




HSK3級に合格するためのおすすめ勉強法




中国語は発音が命。
声調も四つあって、これを無視していては通じません。
ですからピンインの読み方や、声調の使い分けはしっかりと把握する必要があります。
これから中国語を始めた初心者の方は、まず正しい発音・声調を身につけるようにしましょう。




ただし、「先に発音や四声を完璧にしてから先に進もう」とお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、それだとなかなか先には進めません。
何より、発音ばかりしていたら勉強していて面白くありません。




ピンインの読み方や、声調の使い分けなど基礎的な発音練習は二週間か三週間くらいみっちりやったら、文法や表現の学習に進んでもよいのです。
勉強しながら間違いを正してゆけばよく、そうすればこそよりよく把握できるのです。




ですが、ご自分の発音が正しいのかどうか、その確認はこの段階では必要です。
そうしないと間違った発音で覚えてしまうことになります。




『HSK3級満点合格のための試験対策ポイント』でも申し上げたとおり、これから初めてHSKを受験する方も、1級や2級を受けたことがある方も本番前に必ず過去問題を解いておきましょう。




いくらそれまでに文法書や参考書をやっていたとしても、HSK試験の設問形式に慣れておかないと本番で十分実力を発揮できません。
何しろHSK試験は問題文がなく写真や選択肢があるだけで、設問が何であるのか一瞬わからないことが多いからです。




また、これをやらないと、HSK3級試験の解答にはどれくらい時間がかかるか?今自分に足りてないのは何か?という肝心なこともわからないはずです。




そして、ヒアリング力を鍛えるためにも過去のヒアリング問題に挑戦してみることは重要です。
HSK試験のヒアリング問題は各級総じて中国語検定よりも実践的、すなわち難易度が高いため、これに事前に慣れておかないといけません。




うまく聞き取れず、自己採点の結果が思わしくなかったとしても、落ち込まないでください。




ヒアリング問題の解答・解説を開くと、スピーカーが何を言っていたか文章で書かれています。
その文章の意味を完全に把握してから、もう一度その部分を再生し、スピーカーと同じ発音で、同じスピードで話すようにして下さい。
これは、言語を文字情報ではなく音声情報として脳内に刷り込む「シャドウイング」という手法です。




スピーカーと同じように話せるようになるまで何度もやってください。
紙に書きながらやるとより効果的で、手を動かすことはその文章をより音声情報として把握しやすくするのに大いに資することになります。




むろん、最初は舌がもつれてうまくいきません。
それは普段使わない口の筋肉を使うからそうなるのです。
筋肉は使えば鍛えられるもの、何回もこなしていけば必ずスムーズに発音できるようになります。




このシャドウイングはHSK以外の普段の学習でも行ってください。




過去問題集のすべてのヒアリング問題のシャドウイングを十分行ったならば、ヒアリング力自体がだいぶ向上していると思います。
HSK以外の中国語検定やTECCのヒアリングでも十分通用するようになっているはずです。
それは今後HSKのより上級を目指す上でも、中国語力を高める上でも非常に有効な方法となります。
今のうちにその習慣をつけましょう。




そして読解や作文も、問題を解いたら解きっぱなしではなく、間違えていたら何が間違っていたか確認して復習してください。




自分の弱点は本番前に一つでも多く克服、これが重要です。




試験問題の形式




試験問題はどんな形式でしょうか?また、具体的にどの程度の難易度なのでしょうか?
ここでHSK3級のリスニング・読解の問題をご紹介いたします。




一、リスニング




(時間:約35分間)




まずは音楽が鳴り始め、
中国語で「皆さんこんにちはHSK3級試験にようこそ!」が三回繰り返され、
次いで、同じく中国語で「HSK3級リスニング試験は四つの部分に分かれ、計40問です。これから試験を開始します」とアナウンスされます。




以降も同様にすべて中国語です。







すでに1級、2級を受けた方ならご存じのとおり、問題文が一切記載されていません。
ですから何度も申し上げたとおり、最初に設問が何であるかを知っておかないと、それだけで貴重な時間を使って頭をひねってしまうことになりかねません。




以下にその設問を具体的に解説いたします。




第一部分 放送される短い会話の内容と一致する写真を選ぶ



写真を見ながら音声を聞いて、会話内容と一致している写真の記号を□に書き込んでください。会話は二回繰り返しますので、注意してください。(1-10)







上が実際の音声です。
最初に例が出され、「男:喂,请问张经理在吗?(もしもし、張社長はおみえですか?)」「女:她正在开会,您半个小时以后再打,好吗?(社長は現在会議中です。30分後にかけなおしていただけますか)」という会話が放送されます。
その会話と一致している写真をA、B、C、D、E、F六つの選択肢から選ぶのです。







上の例の場合、「男:喂,请问张经理在吗?」「女:她正在开会,您半个小时以后再打,好吗?」という「例如」の欄の会話に一番合っているのは、Dの受話器を持っている女性の写真であることが分かります。よって答えはDです。




もう、お分かりですね。
この要領で以下の問題を解くのです。
先ほど例題でDが選択されたので、D以外からの選択となります。




第二部分 放送される短い文と与えられた文の内容が一致するか答える



センテンスを聞いて、内容によって、★の文の正誤を判断してください。センテンスは二回繰り返しますので、注意してください。(11-20)







上が実際の音声です。
最初に例が出され、「为了让自己更健康,他每天都花一个小时去锻炼身体(より健康になるために、彼は毎日一時間かけて体を鍛えています)」と放送された後、「他希望自己很健康(彼は健康であることを望んでいる)」と放送されます。
次に「今天我想早点儿回家。看了看手表,才五点。过了一会儿再看表,还是五点,我这才发现我的手表不走了(今日は早く家に帰りたかった。腕時計を見てみるとまだ五時だ。しばらくしてからまた見ると、相変わらず五時だった。私はようやく自分の腕時計が動かなくなっていたことに気づいた)」と放送された後、「那块手表不是他的(この時計は彼のものではない)」と放送されます。
つまり、最初に読まれた文と、後で放送される★の部分の文が合っているかどうかを判断して、√か×を記入するのです。







「例如」では「为了让自己更健康,他每天都花一个小时去锻炼身体」と放送されているので、「他希望自己很健康」はふさわしいことになりますので、「√」です。
次の「今天我想早点儿回家。看了看手表,才五点。过了一会儿再看表,还是五点,我这才发现我的手表不走了」ですが、「那块手表不是他的」はふさわしくありませんね。
ですから「×」です。
以下も同じ要領で解答します。




第三部分 放送される短い会話の内容に対する質問に答える



会話を聞いて、A、B、C三つの選択肢から、正しい答えを選んで、質問に答えてください。会話は二回繰り返しますので、注意してください。(21-30)







上が実際の音声です。
最初に例が出され、「男:小王,帮我开一下门,好吗?谢谢!(王さん、扉を開けてくれないかな?頼むよ)/女:没问题。您去超市吗?买了这么多东西(いいですよ、スーパー行ったんですか?こんなにたくさん買って)」という男女の会話が放送されます。
次いで「男的想让小王做什么?(男性は王さんに何をさせたかったのか?)」と放送されますが、これが問題なのです。
その答えをA、B、C三つの選択肢から選ぶのです。







先ほどの例では、「帮我开一下门」と言っていたのでAの「开门」が正解となります。
以下も同じ要領で解答します。




第四部分 放送されるやや長い文に対する質問に答える



会話を聞いて、A、B、C三つの選択肢から、正しい答えを選んで、質問に答えてください。会話は二回繰り返しますので、注意してください。(31-40)







上が実際の音声です。
最初に例が出され、「女:晚饭做好了,准备吃饭了(ご飯できたよ。もう食べる準備しなさい)/男:等一会儿,比赛还有三分钟就结束了(ちょっと待って、試合があと三分で終わるから)/女:快点儿吧,一起吃,才冷了就不好吃了(早くしてよ。一緒に食べよう、冷めたらおいしくなくなるよ)/男:你先吃,我马上就看完了(先に食べてよ、もうすぐ見終わるから)」という男女の会話が放送されます。
今度は少々長めです。
次いで「男的在做什么?(男性は何をしていますか?)」と放送され、これが問題となります。
その答えをA、B、C三つの選択肢から選びます。







最初に「等一会儿,比赛还有三分钟就结束了」と言っているので、正解はCの「看电视」であると推測できますね。
以下も同じ要領で解答します。




この問題からわかるように、会話では「电视」とは一言も言っていません。




ある程度会話を聞き取ってシチュエーションを把握しないと、正しい答えが導けなくなるのが3級からなのです。




二、読解問題




(時間:30分)




読解問題は音声がなく、ご覧になっていただければご理解いただけると思いますので詳しい解説は省略させていただきます。
ただ、どういう問題であるかを理解していただくためにもぜひご一読ください。




第一部分 相関関係のある文を選ぶ



質問内容と一致している選択肢を選んで、その記号を( )に書き込んでください。(41-50)







この問題の場合、例題でEが選択されたので、41-45はE以外からの選択となります。




第二部分 文中の空所部分に、選択肢の中から適切な単語を1つ補い、意味の通る文を作る



A-F六つの選択肢から、適切な記号を選んで、( )に記入してください。(51-60)







第一部分と同じく、例題でEが選択されたので、51-55はE以外からの選択となります。




第三部分 短文の内容に関する問いに答える



センテンスを読んで、A、B、C三つの選択肢から、正しいと思う答えを選んで、質問に答えてください。(61-70)







三、作文問題




(時間:15分)




作文問題もご覧になっていただければご理解いただけると思いますが、どういう問題であるかを理解していただくためにもぜひご一読ください。




第一部分 与えられた語句を並び替えて、正しい中国語文を作る



質問の中の単語を用いて、新しい文を作ってください。(71-75)







これは正しい並べ替えを求める問題です。
文法をきちんと把握しているかどうかが問われます。




第二部分 文の意味を理解して、文中の空所に当てはまる漢字を書く



ピンインと質問文によって、正しい漢字を( )に書き込んでください。(76-80)







これはずばり語彙力を問われる問題です。
覚えた単語を意味も発音も、ふさわしい用法も含めて正しく覚えていないと答えられません。
普段のノートに書く学習がモノを言う設問です。




以上長々と列挙させていただきましたが、HSK3級の問題に関し、詳しくは以下をご覧になるとより詳細にご理解いただけるはずです。




HSK三级真题与答案下载(第一套)




おすすめ教材








スタンダードコース中国語3




北京語言大学と孔子学院/国家漢弁が共同編集した中国語学習の定番テキストです。もともとは英語で書かれており、全世界中の中国語学習者に愛用されている教材ですが、1~4級については日本語版も出版されております




シリーズの各冊がHSK各級のレベルに準拠しており、ゼロからでも段階的かつ体系的に中国語を学ぶことができます。なので、初心者の方でも1級から始められて安心です。また、中国オフィシャルの公的教育機関がタッグを組んで作成した教材ですので、内容が標準的であるだけなく、重要なポイントももれなく押さえられています。




当校、東京チャイニーズアカデミーのグループレッスンでも、当教材を教科書として採用しております。




中国語学習する上で便利なアプリ、サイト




中国語学習している皆さまにこれからご紹介するのは、中国語翻訳者・通訳者である私が仕事でも、普段での学習でも使っているサイトです。
ご参考になれば幸いです。




北辞郎






2021年2月現在で収録語数27万語を超えるオンライン中国語辞典です。
有志によって日々新しい単語が登録されているため、一般的な辞書に登録されていない新語や俗語、はたまた専門用語も収録されています。
発音機能も付いており、中国語の前方一致検索、ピンインの前方一致検索、日本語部分の全文検索、中国語の完全一致検索、中国語の全文検索、中国語の後方一致検索など六つの検索方法が準備されています。




Weblio日中中日辞典






約160万語の収録の日中中日辞典。意味を用例やピンイン、声調付きで解説するオンラインの中国語辞書サービスです。例文が豊富であるため、詳しい用法を把握するのに便利です。
またHSK3級の学習法として、試験範囲の600語の用法はこれを使って確認して学習することをお勧めします。




百度百科






上記二つのオンライン辞典でも引っかからなかった場合は百度百科です(もっとも、引っかからないような単語はHSK3級の段階では出ませんが)。
このオンライン百科事典はウィキペディアを大きく上回る項目が掲載されており、当然中国語で書かれています。
よって、これを読むだけでも中国語学習に大いに資するはずです。
ご興味のある分野(歴史やら科学やら何でもござれです)について検索して読んでみることをお勧めします。




HiNative(ハイネイティブ)






HiNative(ハイネイティブ)は、外国語を学習する人のためのQ&Aアプリです。
中国語ももちろんあり、「〇〇は中国語で何と言う?」と質問をすると、日本語を習う中国語ネイティブスピーカーが即座にその答えを教えてくれるという、外国語学習者のためのマッチングアプリです。
逆にこちらから「〇〇は日本語で何と言う?」という質問に答えてあげることもできます。
また、自分の中国語作文を添削してもらったり、その逆も可能なのです。
HiNativeを使うためにはアカウント登録が必要です。
無料でも登録できますので、詳しくはぜひ公式サイト(見出しに記載)をご覧ください。




編集後記




HSK3級を今回受験される皆さんは中国語を始めたばかりの方もいらっしゃれば、それなりに長い期間学習していらっしゃる方もおられることでしょう。
皆さんの中には、「なかなか覚えられない」「やってもやってもわからない」と悩んでおられる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
大丈夫、焦らないでください。
十個語彙を勉強したら九個以上は絶対に忘れるものなのです。
そして、再びその語彙に出会った時、「あれ?これ、前にもやったな」と思い出します。
それを繰り返してこそ初めて身につくものなのです。
忘れることを前提にするくらいの気持ちで勉強してください。
語学は継続して勉強する人を決して裏切らない学問です。
短時間でもいいので毎日欠かさず中国語に触れるようにしてください。
そうすればご自分では実感がなくても、一年後の皆さんは今とは比べ物にならないほど成長しているはずです。
HSKだって、きっと4級くらい取得していることでしょう。
二年後は?三年後は?
現在の自分とは同じ人間と思えないレベルになっているはずです。
中国語ネイティブには永遠になれませんが、近づくことはできるのです。
そして、勉強を続ける限り終生自分の力が増していくことでしょう。
それこそが語学を学ぶ、我々の場合は中国語を学ぶ醍醐味なのです。



執筆者プロフィール

名古屋外国語大学外国語学部中国語学科卒。中国語検定準1級、HSK6級

2015年以来、特許および特許無効審査の翻訳、校閲を担当。中国語翻訳分野の専門は化学と電気。これまで、美術書や拘置所での書簡の翻訳も経験したこともあり、技術関連を中心に幅広い翻訳分野で対応可能な中国語翻訳者