HSK5級の合格対策・方法


HSKとは?




HSKとは中国政府認定の中国語検定であり、中国語での実際のコミュニケーション能力の測定を行うことを主眼としているために実践的な資格と世界的に認知されております。
日本国内には他に中国語検定試験などの中国語関連の資格がありますが、HSKの権威には及びません。




HSKの級位は1級から6級の全6段階に分かれ、日本の多くの資格とは逆で、1級が初級で6級が最上級となります。
1~2級はリスニング、読解という2つのセクションで構成され、3~6級はリスニング、読解に筆記作文を加えた3つのセクションで構成されています。
そして、中国の資格試験ですのでHSKの問題はすべて中国語で書かれているのが特色です。




このように、中国語検定に比べて少々やりにくそうなHSK試験ですが、受験して級を取得することには大きなメリットがあります。




まず、HSKで級を取得することで中国国内の大学への正規留学を希望する際に要求される中国語能力の証明ができます。
留学だけではなく、現在では日本国内の大学入学試験においてもHSK資格取得者に対する優遇措置(合否判定考慮や出願条件等)を実施している大学・短大が増加してきています。
我が国の国家資格である「通訳案内士」の中国語通訳案内士試験でも、HSK6級の取得者は一次試験の中国語筆記試験を免除されるという特典があります。
また、中国を対象とした企業・機関への就職にあたっては最も有効な中国語能力を証明する証拠ともなりますし(就職の際には、基準として4級以上)、駐在員に対しては、中国の外国人労働者に対するランク付けでHSKの資格が就労ビザの発給にもプラスになります。
もちろんキャリアアップに大いに資することも可能となることでしょう。




よって、これから中国にかかわっていこうとする人にとってHSKは未来を切り開くカギと言ってもよいのです。




また、純粋に中国語学習を趣味にしている人にとっても自分の実力の公式な証明とすることができ、モチベーションのアップにつながることは間違いありません。




将来のために中国語を勉強している人はもちろん、楽しみで中国語を勉強している人もぜひ挑戦することをおすすめいたします!




HSK5級の難易度




皆さんがこれから受験しようとするのは5級ですが、その難易度はいかがなものでしょうか。




まず、公式にはHSK5級は主に週2~4回の授業を2年間以上習い、2500語程度の常用単語と文法知識を習得している方を対象としています。
また、「中国語の新聞や雑誌が読めるだけでなく、中国の映画やテレビも観賞でき、中国語でスピーチすることができる」ことが求められ、日常中国語の応用能力が問われます。




つまり、HSK5級は中国語の茶帯なのです




5級保有者は、社会的に中国を喋れるとみなされると言っても過言ではありません。
よって、完全に留学や就職・転職活動で十分アピールできるレベルなのです。
ちなみに中国の大学(文系の学部)への留学、また中国での仕事を希望するならHSK5級レベルが必要とされています。




問題数はリスニング45問、読解45問、作文10問と、一見すると4級よりさほど増えていないように見えますが、リスニングも読解も文章がずっと難解で長くなりますし、作文は4級より長い文章を書くことが求められるようになります




ですからHSK5級に関し、まだ中国語を習い始めて一年未満の初心者の方はHSK1級かHSK2級からステップアップして行くことをおすすめします。




一方、すでにHSKの3級以上に合格している方ならば、一日2時間以上学習すれば10か月以内に合格することも可能な級であります。
これまで基礎知識として程度か、うろ覚えだった文法や、重要となるとなる接続詞、副詞、助動詞、補語の用法をしっかり身に着け、なおかつなるべく多くの中国語の文章に触れるように心がければ決して合格できないレベルではありません。




HSK5級の試験スケジュール・点数配分・合格点




試験日程・会場



2021年度のHSKの試験日程と会場ですが全部で12回行われることとなり、第1回目と2回目が終了して3回目も受付終了しましたので、残りは9回です(2021年3月12日現在)。
ただし、この中には全国の主要都市で開かれるものもありますが、「特別準会場」という企業や大学など団体が独自で実施する試験会場での開催となり、一般の方が個人で自由に申し込みのできる「公開会場」ではない場合があります(一般の受験者が参加できるものもあります)。
詳しくは2021年3月時点でのHSK公式ホームページでご確認ください。




また、現在は昨今のコロナ禍により試験会場入場前に体温測定が行われ、試験中もマスクの常時着用が義務付けられています。
試験当日は家を出る前にご自身の体温を測定し、マスクを着用して試験会場に向かってください。




試験当日スケジュール



HSK5級は以下の流れで試験が行われます。





  1. 試験開始・注意事項の説明

  2. 必要事項の記入

  3. 問題用紙の配布

  4. リスニング試験(約30分間)

  5. 解答用紙への記入(5分間)

  6. 読解試験(45分間)

  7. 作文試験(40分間)

  8. 試験終了




試験時間は短く、リスニングは45問を約30分間、読解は45問を45分間、作文は10問を40分間で解答しなくてはなりません。
総じてHSKの試験は感覚的に中国語検定と比べて時間が短いのですが、特に5級は難易度が上がったのもあってより短く感じるはずです。




そして、リスニングの時間やその後の解答用紙への記入時間に、早めにできたからと言って読解や作文の問題を解答することはできません。
見ることも不可です。




また、すでにHSKを受けたことがある方はご存じのとおり、リスニングの試験時間の後に設けられる解答用紙への記入時間が終わって読解の試験時間が始まると、リスニングのセクションの解答用紙への記入も一切出来ません。
作文の時間になってもそれは同じです。




解答も記入も見直しも、それぞれのセクションの時間内で行ってください。




また、早く解答が終わったからと言って途中で退席することはできません。
解答用紙、問題用紙が回収されて数量確認が終わり、監督官が試験終了を宣言するまで待ちましょう。




点数配分・合格点



リスニング、読解、作文いずれも各セクションの配点は各100点、合計300点満点です。
合格ラインは総得点180点以上、つまり全体の6割の点数が取れれば合格です。
各セクションに基準点はなく、例えばリスニングが6割未満であっても読解や作文で高得点を取ってカバーし、全体が6割に達すればよいのです。




しかし、最初から6割を目標にすると往々にしてそれ以下しか取れないような勉強をしてしまいがちになり、試験当日もそのくらいの実力しか発揮できないことがあります。




ですから、私は皆さんに敢えて言います。
目標は大きく、5級は8割を狙っていきましょう!




HSK5級合格のための試験対策ポイント




その1:彼を知り己を知れば百戦殆(あや)うからず



どんな検定試験でもそうですが、試験の前にHSKの過去問題を解いて出題の形式や傾向を把握しなければなりません。
HSKの他の級を受けたことがある方でも事前に過去問題をやってみるべきです。
5級はリスニングや読解、作文の出題の形式も質も変わり、何より難易度もぐんと上がるからです。




また、HSKは問題文がない上に問題の数に比べて試験時間が短く、それが何を問い、どう解答すればよいかを考えているうちに貴重な時間を浪費してしまいます。
設問の形式を最初から知っているか知らないかでは本番で大きな差となるのです。




ですから、普段の学習に加えて本番の三週間前までには過去問題や模擬試験に必ず挑戦してください。
それも本番と同じ時間配分で解答することをおすすめします。
それによってHSK5級の設問方法や解答の所要時間、難易度を体感し、足りないところがあれば事前に補うことも可能となるはずです。
まさに「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」なのです。




問題サンプル、過去問題は中国のHSK公式ホームページ(汉语考试服务网)からダウンロード出来ます。一度チャレンジ、レベルチェックしてみてください。




5級の問題と解答は「新HSK(五级)考试大纲下载」「HSK五级真题与答案下载」「听力音频文件」になります。




その2:リスニングを制する者は試験を制する



リスニングがどうも苦手だ、という方は多いことでしょう。
文章になると簡単なのに、いざ聞き取ろうとするとどうしても難しいと皆さんおっしゃいます。




なぜなんでしょうか?




それはその発音とスピードで話せないからです。
自分がリスニングのスピーカーと同じように話せない限り、聞き取ることは不可能です。
これは中国語に限らず、どんな言語でも同じです。




リスニング問題は、基礎的な単語を正確な発音でできれば、確実に解答できます。




そのためには普段の学習で中国語を文章で読む時に黙読ではなく声に出して正確な発音をする習慣をつけてください。
リスニング力をつけるには、まず自分が発話できてこそなのです。




リスニング力をつける訓練は同時に文章を読む読解力の訓練にもなります。
だから、リスニング力があるということは読解力もあるということなのです。
つまり、リスニングを制する者は試験を間違いなく制します。




その3:リスニング問題は音声が流れる前に選択肢を見ること



本番はもちろん、過去問題のリスニングをやってみる際にも注意していただきたい点が一つあります。




HSK5級のリスニングセクションは、まず会話や文を読む音声が流されて、その後にその音声の内容を問う質問が同じく音声で出されるのは他の級と同じです。
そして、その問いの音声は一回しか流れません。
しかも、問いは問題用紙には書かれていません。

聞き逃したらアウトなのです。




しかし、どんな問題が出されるのか音声が流れるまで全く見当がつきません。
いざ音声で問題が流されても、問題の前の音声が結局何を言っていたか把握できなかったか覚えられなかった、ということが多いものです。




そこで、リスニング対策として問題の音声が流れる前に問題用紙に書かれた選択肢をあらかじめ見ることをおすすめします。




すぐさま次の問題の音声が流れ始めるので時間は一瞬ですが、それを見るか見ないかで聞き取りの精度に大きな差が出るはずです。




例えばこの問題。







文字で読めばともかく、これを音声で流された場合にどんな会話だったか全体的に把握できますか?




かなり長めですし、メモしたとしても音声に追いつくことは難しいと思います。







しかし、先に問題用紙に記載された上記31問目の「A 学习」「B 开会」「C 接人」「D 参观游览」の四つの選択肢をさっと見ておけば、会話文の音声で「我明天要去北京参加一个会议」と流れた時に31問目はその選択肢の中の「开会」が正解なのではないかと、問いが読まれる前に予想がつく確率は高くなります。
つまり、選択肢をあらかじめ見てどんな問題が出てくるかアタリをつけるのです。




もちろん時間は一瞬です。
じっくり見ることはできません。
しかし、問題に関する情報がゼロのまま音声のみを頼りに問題に臨むよりは、はるかにマシなはずです。




今後の6級の試験でもこれをやるのとやらないとでは大きな差が出ると思います。
これから過去問題をやる場合、問題の音声が流れる前に瞬間的に選択肢を見る習慣をつけることをおすすめします。




その4:長文にひるまない精神力をつける



5級の読解問題は4級よりぐっと難解で長くなります。
普段から中国人の大人向けの文章に慣れておく必要があります。




そこで5級からは参考書ではなく、日常の学習として中国語のニュース記事や小説などを読むことを推奨します。
自分の興味のある分野、例えば歴史が好きな方は歴史に関するものでもよいのですが、同時に全く興味のない分野、経済やコンピューター関連など日本語でも難しいものにも挑戦していきましょう。




何しろ本番ではどんな内容の長文が出てくるかわからないのです。
むろんわからない単語だらけでしょうから、何度も辞書を使うことになるでしょう。
しかし、様々な分野に関する文に接することで、どんな長文にもひるまず冷静に対応できる精神力がつくはずです。
まずはこの長文に屈しない精神力を養いましょう。




自分の興味のない分野に関する中国語の長文を読んで、「その分野について勉強になった」と思えるようになったならば、HSK5級の長文読解ごとき恐れるに足りません。




その5:2500語はあくまで確認用とする



これから5級に挑む方はそれなりに中国語学習歴のある方々という前提で話をさせていただければ、おそらくこのHSK5級合格に必要とされる2500語の常用単語のうちかなりの部分をすでに覚えていらっしゃるのではないでしょうか?




試験範囲の2500語は、
中国のHSK公式サイトからダウンロード出来る単語リスト(新汉语水平考试(HSK)词汇)で確認出来ますが、あくまでも自分の知らない単語を探し、それを覚える目的で使用してください。




もしわからない語彙が半分以上を占めているならば、その語彙を例文つきで学習することをおすすめします。
単語リストの単語だけを見て、受験英語を暗記するような勉強法だと生きた中国語として脳内に記憶されません。
時間はかかりますが、今後上の級を目指すためにもじっくりと基礎を固めていきましょう。




HSK5級に合格するためのおすすめ勉強法




『リスニングを制する者は試験を制する』でも申し上げた通り、リスニング問題ができればもう合格はほぼ手中に収めたも同然と信じます。




リスニング力は自分がネイティブと同じ発音とスピードで話せるようにならないと向上しないのは前で述べたとおりです。




そこで私が普段の学習で皆さんにおすすめしたいリスニング力向上の方法のひとつは、YouTubeなどの動画サイトを使った学習法です。




ドラマでもドキュメンタリーでも、自分の興味のあるものでよいのです。
普段の学習で中国のTV番組などの動画を見ましょう。







むろん、参考書と違って口語やくだけた表現があり、スピードも速かったりして聞き取れないことが多いはずです。
しかし、たいていの中国のTV番組や動画は字幕がついています。




最初に聞いてみて、全く聞き取れなかったらその字幕の文章の意味を調べて完全に把握してから、もう一度その部分を再生し、動画の中のスピーカーと同じ発音で、同じスピードで話すようにしてみて下さい。




これは、言語を文字情報ではなく音声情報として脳内に刷り込む「シャドウイング」という手法です。




スピーカーと同じように話せるようになるまで何度もやってください。
紙に書きながらやるとより効果的で、手を動かすことはその文章をより音声情報として脳内に記憶しやすくします。




むろん、最初は舌がもつれてうまくいきません。
それは普段使わない口の筋肉を使うからそうなるのです。
筋肉は使えば鍛えられるもの、何回もこなしていけば必ずスムーズに発音できるようになります。
これこそがリスニング力を向上させるための重要な第一歩なのです。




この動画サイトを使ったシャドウイングによるリスニング学習を行えば、HSKのリスニング問題に十分対応できるようになるでしょう。




また、リスニング力の向上だけでなく実際に使われている生きた中国語を身に着けることにも大いに役立ちます。




読解問題に関しても『HSK5級合格のための試験対策ポイント』の『長文にひるまない精神力をつける』で述べたように、
普段から大人の中国人向けの文章、ニュース記事や小説、サイトなどの閲覧を普段の学習とすることをおすすめします。




5級の合格には、参考書ではなくこうした実践的な学習こそが有効なのです。




そして、これから初めてHSKを受験する方も、受験したことがある方も本番前に必ず過去問題を解いておきましょう。




いくらそれまでに文法書や参考書をやっていたとしても、HSK試験の設問形式に慣れておかないと本番で十分実力を発揮できません。
また、これをやらないと、HSK5級試験の解答にはどれくらい時間がかかるか?
今自分に足りてないのは何か?
という肝心なこともわからないはずです。




そして過去のリスニング問題に挑戦する際は、問題の選択肢をさっと見ることを心がけてください。




うまく聞き取れず、自己採点の結果が思わしくなかったら、今度はリスニング問題の解答・解説を開いて、スピーカーが何を言っていたかを確認して同じくリスニング問題のシャドウイングを行うことをおすすめします。
HSK5級のリスニング問題の傾向やクセがつかめるはずです。




そして読解や作文も、問題を解いたら解きっぱなしではなく、間違えていたら何が間違っていたか確認して復習しましょう。




自分の弱点は本番前に一つでも多く克服、これが重要です。




試験問題の形式




試験問題はどんな形式でしょうか?また、具体的にどの程度の難易度なのでしょうか?
ここでHSK5級のリスニング・読解・作文の問題をご紹介いたします。




一、リスニング




(時間:約30分間)




まずは音楽が鳴り始め、
中国語で「皆さんこんにちはHSK5級試験にようこそ!」が三回繰り返され、
次いで、同じく中国語で「HSK5級リスニング試験は三つの部分に分かれ、計45問です。これから試験を開始します」とアナウンスされます。




以降も同様にすべて中国語です。







すでにHSKを受けた方ならご存じのとおり、問題文が一切記載されていません。
ですから何度も申し上げたとおり、最初に設問が何であるかを知っておかないと、それだけで貴重な時間を使って頭をひねってしまうことになりかねません。




以下にその設問を具体的に解説いたします。




第一部分 会話の内容に関する問題



2人の短い会話とその内容に関する問いが放送され、問いの答えとして正しいものを4つの選択肢の中から選びます。(1-10)







上が実際の音声です。




注意していただきたいのは、HSK4級まで受験されたことがある方ならお気づきのとおり、例題がありません。
いきなり問題から始まります。




まず最初に、「女:下雨了,出门时别忘了带伞。」「男:放心吧,忘不了。」という会話が流され、次に「男的是什么意思?」という音声がこの問題となるのはご覧のとおりです。







1問目は『HSK5級合格のための試験対策ポイント』のその3『リスニング問題は音声が流れる前に選択肢を見ること』でも述べたとおり、
問題用紙の「A 雨快停了」「B 他会带伞的」「C 他不出去了」「D 他没有雨伞」の選択肢をあらかじめ見ておけば、「雨か傘に関する問題では?」と察しをつけてリスニング問題の音声に臨むことができるはずです。




この問題の答えはBですね。




第二部分 会話や文の内容に関する問題



まとまった長さの会話や問題文と、その内容に関する問いが放送され、問いの答えとして正しいものを4つの選択肢から選びます。(11-25)







ご覧のとおり、第二部分の問題は第一部分よりぐっと長くなります。







この部分もリスニング問題の音声が流れる前に選択肢をさっと確認してください。
「相机」「手机」の二つの単語、あるいはどちらか一つが目に入っただけでも何の予備知識もなく会話文を聞くより有利になるはずです。




ただしこの第二部分には注意していただきたいことがあります。










それはこのとおり、後半になるにつれて会話や文がより長くなるということです。
問題も二問か三問ずつになります。







ですから「第31到32是根据下面一段对话と文や会話が読まれる前に音声が流れた際には31問目と32問目の選択肢を見ておく必要があります。




二、読解問題




(時間:40分)




読解問題は音声がなく、ご覧になっていただければご理解いただけるとは思いますが、
どんな対策が必要かも含めまして解説させていただきます。




第一部分 空所補充問題



文中の空所部分に、4つの選択肢から適切な単語を1つ補い、意味の通る文を作ってください。(46-55)







これは単語力を直接試される問題ですね。
HSK5級の常用単語2500語のうち、かなりの部分を覚えていれば問題なく解けます。




第二部分 文の内容に関する問題



与えられた短文の内容と一致するものを4つの選択肢から選んでください。(56-66)







この問題文は『笑话』ですね。
この問題の文を読んで「プッ」と噴き出した方は、もう5級の読解に関して言うことはありません。
ちなみに、本番の試験でこういった『笑话』を出されると妙に面白く思えます。
HSKはしょっちゅうこんないたずらのような問題を出してくるので注意してください。




第三部分 長文読解問題



長文とその内容に関する複数の問いの答えとして正しいものをそれぞれ4つの選択肢から選んでください。(66-85)







まず、文の長さにひるまないことが肝要です。
長文読解問題は、その長さに圧倒されたら負けなのです。
普段から長文に接していれば焦ることなく冷静に対処できます。




三、作文問題




(時間:25分)




作文問題もご覧になっていただければご理解いただけると思いますが、対策も含めまして解説させていただきます。




第一部分 語句の並べ替え問題



与えられた複数の語句を並び替えて正しい中国語文を作ってください。(86-95)







これは正しい並べ替えを求める問題です。
文法をきちんと把握しているかどうかが問われます。




第二部分 作文問題



(1)与えられた単語を使って80字程度の中国語文を作ってください。(76-80)







与えられた単語を全て使って、頭の中でストーリーを組み立てる必要があります。
そのストーリーに必要な単語は、前述の『HSK5級合格のための試験対策ポイント』や『HSK5級に合格するためのおすすめ勉強法』でも申し上げた普段の学習において生の中国語に触れ続ければ自ずと出てきます。




(2)与えられた写真に関する80字程度の中国語文を作ってください。







こういった写真を見て記述することを問う問題の場合、どうしても基準の80語に満たない場合があります。
そういう時は、「从照片看来」「我的眼里来看」など写真を見た後、私見を述べる際に使う語を先に持ってきたり、
二名以上の人物がいれば単に「他们」ではなく、「他两个」「他几个を使ったり、
何かの動作をしているのであれば「正在~当中」という語を使ってみたりして文字数を稼ぐ手もあります。
状況や動作を断定せずに「好像似的」や「可能是」などのようなぼかした表現を使うのもありです。




以上長々と列挙させていただきましたが、HSK5級の問題に関し、詳しくは以下をご覧になるとより詳細にご理解いただけるはずです。




HSK五级真题与答案下载(第一套)




おすすめ教材




ネイティブ中国語―補語例解






HSK5級の基礎固めのためにも、よりこなれた中国語の習得のためにも、大修館書店の『ネイティブ中国語―補語例解 陳文芷、陸世光 主編』をお勧めいたします。




これは、中国語学習者にとって難解で使いにくく、鬼門とも言うべき補語の理解を手助けすることを目的とした教材です。




中国語学習の上で補語、特に方向補語などはその用法を辞書で調べたとしても理解しづらいものなのではないでしょうか?




例えば、起来」と「上来
抱起来抱上来のように補語がついたことによって意味が変わるのに、どう違うのかわからず、辞書にも補語がついた状態の語が載っていないことの方が多いはずです。
また、どのような場合に使うのかも理解しにくいものです。




辞書的に解釈すれば、「起来」は話し手の視点が動作の起点から上方への離脱にあり。
「上来」は話し手の視点が動作の終点への到達とありますが、
そんなこと説明されてすぐに理解できる人はまれでしょう。
他にも「下来」「下去」「过来」「开来」と来ればどれがどういう働きをするのか訳が分からなくなって、気が狂いそうになります。




これを習得するには、やはり語学の王道である「習うより慣れろ」しかないのです。




本書は語彙ごとに補語を用いた例文を複数掲載し、数をこなすことによって補語の用法を体得させるという手法を用いています。
補語は方向補語だけでなく、結果補語、可能補語、程度補語、介詞補語、時量補語を使った例文もあります。




また、各例文の中で理解が難しいと思われる補語の用法を解説する注釈もついています。




これにはCDがついておらず、純粋に補語の学習に特化した参考書となりますが、補語が苦手だという中国語学習者の方にはおすすめの一冊です。




中国語学習する上で便利なアプリ、サイト




中国語学習している皆さまにこれからご紹介するのは、中国語翻訳者・通訳者である私が仕事でも、普段での学習でも使っているサイトです。
ご参考までにご一読くだされば幸いです。




北辞郎






2021年3月現在で収録語数27万語を超えるオンライン中国語辞典です。
有志によって日々新しい単語が登録されているため、一般的な辞書に登録されていない新語や俗語、はたまた専門用語も収録されています。
また、この北辞郎の辞書編集グループ「辞典幇」に参加して、自分が調べた単語や例文を追加することもできます。
そして何より、編集したり追加したりした単語の数に応じて四半期決算のたびに金銭による報酬が得られます。




Weblio日中中日辞典






約160万語収録の日中中日辞典。意味を用例やピンイン、声調付きで解説するオンラインの中国語辞書サービスです。例文が豊富であるため、詳しい用法を把握するのに便利です。
またHSK5級の学習法として、試験範囲の2500語の用法はこれを使って確認して学習することをおすすめします。




百度百科






このオンライン百科事典である百度百科はウィキペディアを大きく上回る項目が掲載されており、中国国内の事柄ばかりではなく日本では紹介されてはいないような世界の様々な事柄について調べることができます。
当然中国語で書かれていますから、中国語学習に大いに資するはずです。
普段の学習として、興味のある分野(歴史やら科学やら何でもござれです)について検索して読んでみることをおすすめします。




西瓜视频






中国の動画サイトです。
中国だけでなく日本のドラマやアニメも無料で見られることがあり、音声が日本語で字幕が中国語のものは語彙力の強化や表現力の幅を広げるのに大いに役立つはずです。




HiNative(ハイネイティブ)






HiNative(ハイネイティブ)は、外国語を学習する人のためのQ&Aアプリです。
中国語ももちろんあり、「〇〇は中国語で何と言う?」と質問をすると、日本語を習う中国語ネイティブスピーカーが即座にその答えを教えてくれるという、外国語学習者のためのマッチングアプリです。
逆にこちらから「〇〇は日本語で何と言う?」という質問に答えてあげることもできます。
また、自分の中国語作文を添削してもらったり、その逆も可能なのです。
HiNativeを使うためにはアカウント登録が必要です。
無料でも登録できますので、詳しくはぜひ公式サイト(見出しに記載)をご覧ください。




編集後記




HSK5級は事実上中国語の茶帯認定試験です。
4級と比べると難易度はぐっと上がります。
5級に関しては、全くの初心者の方が一からやって合格できることはお約束できません。




なぜならHSK各級合格のための勉強を自動車学校の教習に例えると、
3級までは教習所内でしたが、4級からは路上だ
と個人的に思っているからです。
ましてや5級は交通量の多い市街地か国道に相当します。




初めて運転席に座る人やクラッチの使い方を知らない人に路上を走らせるわけにはいきません。
ですから本稿では中国語を始めて1年以上かHSKで3級以上を保有している方、
つまり“教習所内を修了した方”を対象という前提で、合格のための有効な勉強法や受験に際してのコツを私なりに指南させていただきました。




本稿でも述べさせていたいたとおり、この“路上教習”からは参考書ではなく実際の中国語、中国人の中国人による中国人のための中国語にできるだけたくさん触れることを普段の学習とすることをおすすめします。




むろん参考書のように懇切丁寧な日本語の解説などありませんし、
自分の解釈が果たして正しいのかわからなくなる時もあるでしょう。
しかし、日本語訳のない外国語を読んだり聞いたりするとおのずと集中力が高まり、
子供の心で読んだり聞いたりするのと同じ感覚になってきます。
感受性も子供のように研ぎ澄まされ、日本語で同じ内容に触れるよりもずっと感じるものがあるような気がしてくるはずです。




そうなった時こそが中国語学習の大きな到達点のひとつ、
中国語で思考可能になった自分に大きく近づいたということです。




中国語で思考できる人にとってHSK5級など、よほどのことがない限りのれんに腕押しでしょう。
何より、新たな人格が加わったような気分も悪いものではありません。




あなたもその境地に到達しようではありませんか!



執筆者プロフィール

名古屋外国語大学外国語学部中国語学科卒。中国語検定準1級、HSK6級

2015年以来、特許および特許無効審査の翻訳、校閲を担当。中国語翻訳分野の専門は化学と電気。これまで、美術書や拘置所での書簡の翻訳も経験したこともあり、技術関連を中心に幅広い翻訳分野で対応可能な中国語翻訳者