HSK6級の合格対策・方法


HSKとは?




HSKとは中国政府認定の中国語検定であり、中国語での実際のコミュニケーション能力の測定を行うことを主眼としているために実践的な資格と世界的に認知されております。
日本国内には他に中国語検定試験などの中国語関連の資格がありますが、HSKの権威には及びません。




HSKの級位は1級から6級の全6段階に分かれ、日本の多くの資格とは逆で、1級が初級で6級が最上級となります。
1~2級はリスニング、読解という2つのセクションで構成され、3~6級はリスニング、読解に筆記(作文)を加えた3つのセクションで構成されています。
そして、中国の資格試験ですのでHSKの問題はすべて中国語で書かれているのが特色です。




このように、中国語検定に比べて少々やりにくそうなHSK試験ですが、受験して級を取得することには大きなメリットがあります。




まず、HSKで級を取得することで中国国内の大学への正規留学を希望する際に要求される中国語能力の証明ができます。
留学だけではなく、現在では日本国内の大学入学試験においてもHSK資格取得者に対する優遇措置(合否判定考慮や出願条件等)を実施している大学・短大が増加してきています。
我が国の国家資格である「通訳案内士」の中国語通訳案内士試験でも、HSK6級の取得者は一次試験の中国語筆記試験を免除されるという特典があります。
また、中国を対象とした企業・機関への就職にあたっては最も有効な中国語能力を証明する証拠ともなりますし(就職の際には、基準として4級以上)、駐在員に対しては、中国の外国人労働者に対するランク付けでHSKの資格が就労ビザの発給にもプラスになります。
もちろんキャリアアップに大いに資することも可能となることでしょう。




よって、これから中国にかかわっていこうとする人にとってHSKは未来を切り開くカギと言ってもよいのです。




また、純粋に中国語学習を趣味にしている人にとっても自分の実力の公式な証明とすることができ、モチベーションのアップにつながることは間違いありません。




将来のために中国語を勉強している人はもちろん、楽しみで中国語を勉強している人もぜひ挑戦することをおすすめいたします!




HSK6級の難易度




皆さんがこれから受験しようとする6級はHSKの最高級です。




公式にはHSK6級は5000語かそれ以上の常用単語を習得している方を対象とし、「中国語の音声情報や文字情報を不自由なく理解することができ、自分の意見や見解を流暢な中国語で口頭または書面にて表現することができる」ことが求められます。




つまり、HSK6級は中国語の黒帯なのです




よって、完全に留学や就職・転職活動で十分アピールできるレベルなのはもちろん、
これは個人的な話ですが、私が通訳や翻訳の仕事を他人に紹介したい場合はその人がHSK6級を保有しているか否かを見ます。
私に限らず同業の中国語通訳者や翻訳者の中には「HSK6級も持っていない人は信用できない」とおっしゃる方もいるくらいです。
6級は中国語のエキスパートへの登竜門のひとつなのです。




問題数はリスニング50問、読解50問と増加しますし、1000字程度の文章を黙読した後それを400字程度に要約する書写(作文)の問題が加わります。
もちろん、5級よりリスニングも読解も文章がずっと難解で長くなりますし、書写問題ははるかに長い文章を書くことが求められるようになります




何より、試験開始となってから試験監督の説明は、試験の終了まですべて中国語です。




ですからHSK6級に関し、まだ中国語を習い始めて一年未満の初心者の方はHSK1級かHSK2級からステップアップして行くことをおすすめします。




一方、すでにHSKの4級以上に合格している方は、一日2時間以上学習すれば最短1年で合格することも可能な級であります。
これまで基礎知識として程度か、うろ覚えだった文法や、重要となるとなる接続詞、副詞、助動詞、補語の用法をしっかり身に着け、なおかつより実践的な学習を行って、なるべく多く中国語に触れるように心がければ決して合格できないレベルではありません。




HSK6級の試験スケジュール・点数配分・合格点




試験日程・会場



2021年度のHSKの試験日程と会場ですが全部で12回行われることとなり、第1回目と2回目が終了して3回目も受付終了しましたので、残りは9回です(2021年3月25日現在)。
ただし、この中には全国の主要都市で開かれるものもありますが、「特別準会場」という企業や大学など団体が独自で実施する試験会場での開催となり、一般の方が個人で自由に申し込みのできる「公開会場」ではない場合があります(一般の受験者が参加できるものもあります)。
詳しくは2021年3月時点でのHSK公式ホームページでご確認ください。




また、現在は昨今のコロナ禍により試験会場入場前に体温測定が行われ、試験中もマスクの常時着用が義務付けられています。
試験当日は家を出る前にご自身の体温を測定し、マスクを着用して試験会場に向かってください。




試験当日スケジュール



HSK6級は以下の流れで試験が行われます。





  1. 試験開始・注意事項の説明

  2. 必要事項の記入

  3. 問題用紙の配布

  4. リスニング試験(約35分間)

  5. 解答用紙への記入(5分間)

  6. 読解試験(50分間)

  7. 問題用紙回収・書写問題用紙配布

  8. 書写問題黙読(10分間)

  9. 書写問題用紙回収

  10. 書写試験(35分間)

  11. 試験終了




試験時間は短く、リスニングは50問を約35分間、読解は50問を50分間、書写は1000文字程度の文章を10分間見て、それを35分間で400字程度に要約しなくてはなりません。
総じてHSKの試験は感覚的に中国語検定と比べて時間が短いのですが、特に6級はなお一層短く感じるはずです。




そして、リスニングの時間やその後の解答用紙への記入時間に、早めにできたからと言って読解や書写の問題を解答することはできません。
見ることも不可です。




書写問題はリスニングと読解の問題用紙とは別で、読解の時間が終わって問題用紙が回収されてから配布されます。
書写問題の用紙は10分間の黙読時間が終わったら回収されますが、メモを取ることはできないため、すべて頭の中でまとめてから書写を行う必要があります。




点数配分・合格点



リスニング、読解、書写いずれも各セクションの配点は各100点、合計300点満点です。
合格ラインは総得点180点以上、つまり全体の6割の点数が取れれば合格です。
各セクションに基準点はなく、例えばリスニングが6割未満であっても読解や書写で高得点を取ってカバーし、全体が6割に達すればよいのです。




しかし、最初から6割を目標にすると往々にしてそれ以下しか取れないような勉強をしてしまいがちになり、試験当日もそのくらいの実力しか発揮できないことがあります。




ですから、私は皆さんに敢えて言います。
目標は大きく、6級は8割を狙っていきましょう!




HSK6級合格のための勉強法・試験対策ポイント




その1:長文にひるまない精神力をつける



6級はリスニングも読解問題も5級と比べてうんざりするほど難解で長くなります。







いざ本番で長文と向かい合って「難しい!」「長い!」と圧倒されたら、その時点で負けです。
なぜなら6級は長文だらけだからです。
また、わからない単語が出てきたりするとついつい冷静さを失ってしまいます。




ですから、本番までに長文にひるまない精神力をつけるために、普段から日常の学習として中国人の大人向けの、それも1000文字以上の文章を読んで長文に慣れておくことをおすすめします。




中国語の小説や自分の興味のある分野、例えば歴史が好きな方は歴史に関するものでもよいのですが、同時に全く興味のない分野、経済やコンピューター関連など日本語でも難しいものにも挑戦していきましょう。




何しろ本番ではどんな内容の長文が出てくるかわからないのです。
むろんわからない単語だらけでしょうから、普段の学習では何度も辞書を使うことになるでしょう。
しかし、様々な分野に関する文に接することで、どんな長文にもひるまず冷静に対応できるようになります。




わからない単語や表現があったとしても、前後の文脈で判断できる推察力も養えます。




自分の興味のない分野に関する中国語の長文を読んで、「その分野について勉強になった」と思えるようになったならば、HSK6級の長文読解ごとき恐れるに足りません。




その2:普段から中国語の動画を視聴する



6級のリスニング力向上のためには参考書では力不足です。




私が普段の学習で皆さんにおすすめしたいリスニング力向上方法は、YouTubeなどの動画サイトを使った学習法です。




ドラマでもドキュメンタリーでも、自分の興味のあるものでよいのです。
普段の学習で中国のTV番組などの動画を見ましょう。







一回目で問題なく聞き取れれば、もう6級のリスニングはもらったも同然ですが、
口語やくだけた表現があり、スピードも速かったりして聞き取れないことが多いはずです。
しかし、たいていの中国のTV番組や動画は字幕がついています。




最初に聞いてみて、全く聞き取れなかったらその字幕の文章の意味を調べて完全に把握してから、もう一度その部分を再生し、動画の中のスピーカーと同じ発音で、同じスピードで話すようにしてみて下さい。




これは、言語を文字情報ではなく音声情報として脳内に刷り込む「シャドウイング」という手法です。
この音声情報の蓄積こそがリスニング力向上には必要なのです。




音声情報は自分もスピーカーと同じスピードと発音で話せなければ脳内に残りません。




スピーカーと同じように話せるようになるまで何度もやってください。
紙に書きながらやるとより効果的で、手を動かすことはその文章をより音声情報として脳内に記憶しやすくします。




むろん、最初は舌がもつれてうまくいきません。
それは普段使わない口の筋肉を使うからそうなるのです。
筋肉は使えば鍛えられるもの、何回もこなしていけば必ずスムーズに発音できるようになります。




この動画サイトを使ったシャドウイングによるリスニング学習を行えば、HSK6級のリスニング問題に十分対応できるようになるでしょう。




また、リスニング力の向上だけでなく実際に使われている生きた中国語を身に着けることにも大いに役立ちます。




その3:リスニング問題は音声が流れる前に選択肢を見ること



HSK6級のリスニングセクションは、まず会話や文を読む音声が流されて、その後にその音声の内容を問う質問が同じく音声で出されるのは他の級と同じです。
そして、その問いの音声は一回しか流れません。
しかも、問いは問題用紙には書かれていません。
聞き逃したらアウトなのです。




しかし、どんな問題が出されるのか音声が流れるまで全く見当がつきません。
いざ音声で問題が流されても、問題の前の音声が結局何を言っていたか把握できなかったか覚えられないことが多いはずです。




そこで、リスニング対策として問題の音声が流れる前に問題用紙に書かれた選択肢をあらかじめ見て、
問題の音声もその選択肢を見ながら聞くことをおすすめします。




あまりじっくり見る時間はありませんが、それをするかしないかで聞き取りの精度に大きな差が出ます。




例えばこの問題。







この長さの会話を音声で流された場合に、どんな会話だったか全体的に把握できますか?
メモしたとしても音声に追いつくことは難しいと思います。
しかも、一回しか流れないのです。




なおかつ問題は16から20までの5問です。




そこで、まずリスニング問題の音声が流れる前、「第16到20题是根据下面一段采访」とアナウンスされた際に、解答用紙の16問から20問目までを〇で囲ってください。







その〇で囲った部分の選択肢を見ながら問題の会話文を聞くのです。




例えば16問目の「A 娱乐」「B 参与体」「C 观赏享受」「D 源整合」の四つの選択肢を見ておけば、会話文の音声で「所以我提出“生活就是体,体就是生活”,」と流れた時に16問目はその選択肢の中の「B 参与体が正解なのではないかと、問いが読まれる前に予想がつく確率は高くなります。







つまり、選択肢をあらかじめ見てどんな問題が出てくるかアタリをつけて、会話や文章の音声の中から正解を聞き取るのです。




もちろん時間は一瞬で、じっくり見ることはできません。
16問目の選択肢の中の正解と思われるものにアタリをつけたら、すぐさま17問目の選択肢を見なければなりません。




ただでさえ張り詰めたリスニング試験の時間なのに余計なことをしなければならなくなるように思えますが、
問題に関する情報がゼロのまま音声のみを頼りに問題に臨むのは、6級のリスニングではかなり危険です。




本番に向けて、これから過去問題をやる場合には問題の音声が流れる前に瞬間的に選択肢を見る習慣をつけてください。




その4:作文(書写)はSNSを使って練習



FacebookやWeChatなどのSNSのアカウントをお持ちの方は、中国語で投稿してみましょう。
それもFacebookならば中国語関連の公開グループなど、それも人数が多めのものを探して参加し、そこで中国語を使って長めの文章を投稿してみてください。
そういった人数が多めの公開グループには中国人が少なからず参加しているもので、間違いを指摘して、添削してくれる「ありがたいおせっかい」が現れる確率が高くなります。
作文は数をこなし、間違いを指摘されてこそ上達するものです。




また、会話以外で中国語力自体をアップさせる最も効果的な方法が作文なのです。




個人的には以下の公開グループをおすすめしています。




中国語友の会




その5:過去問題でクセや傾向をつかむ



本番前にHSKの過去問題を解いて出題の形式や傾向を把握することは不可欠です。
HSKの他の級を受けたことがある方でも事前に過去問題をやってみるべきです。
6級はリスニングや読解、書写(作文)の出題の形式も質も変わり、何より難易度もぐんと上がるからです。




また、HSKは問題文がない上に問題の数に比べて試験時間が短く、それが何を問い、どう解答すればよいかを考えているうちに貴重な時間を浪費してしまいます。
設問の形式を最初から知っているか知らないかでは本番で大きな差となるのです。




ですから、普段の学習に加えて本番の四週間前までには過去問題や模擬試験に必ず挑戦してください。
それも本番と同じ時間配分で解答することをおすすめします。
それによってHSK6級の設問方法や解答の所要時間、難易度を体感し、足りないところがあれば事前に補うことも可能となるはずです。




また、問題を解いたら解きっぱなしではなく、間違えていたら何が間違っていたか確認して復習しましょう。




そうすることによって、HSK6級には「劳动条件那么好的工作,上哪儿去找呀?(そんないい仕事、どこにあるってんだ?)」や、
「那样的家伙,不能不讨厌嘛!(あんな奴、嫌いにならないわけないだろう!)」などのように反語表現が多い、
というような特徴や傾向もつかめます。




自分の弱点は本番前に一つでも多く克服、これが重要です。
まさに「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」です。




問題サンプル、過去問題は中国のHSK公式ホームページからダウンロードできます。
一度チャレンジ、レベルチェックしてみてください。




汉语考试服务网




6級の問題と解答は「新HSK(六级)考试大纲下载」「HSK六级真题与答案下载」「听力音频文件」になります。




その6:5000語はあくまで確認用とする



これから6級に挑む方はそれなりに中国語学習歴のある方々という前提で話をさせていただければ、おそらくこのHSK6級合格に必要とされる5000語の常用単語のうちかなりの部分をすでに覚えていらっしゃるのではないでしょうか?




試験範囲の5000語は、
中国のHSK公式サイトからダウンロードできる単語リスト(新汉语水平考试(HSK)词汇)で確認できますが、あくまでも自分の知らない単語を探し、それを覚える目的で使用してください。




もしわからない語彙が半分以上を占めているならば、その語彙を例文つきで学習することをおすすめします。
単語リストの単語だけを見て、受験英語を暗記するような勉強法だと生きた中国語として脳内に記憶されません。
時間はかかりますが、じっくりと基礎を固めていきましょう。




試験問題の形式




試験問題はどんな形式でしょうか?また、具体的にどの程度の難易度なのでしょうか?
ここでHSK6級のリスニング・読解・書写(作文)の問題をご紹介いたします。




一、リスニング




(時間:約35分間)




まずは音楽が鳴り始め、
中国語で「皆さんこんにちはHSK6級試験にようこそ!」が三回繰り返され、
次いで、同じく中国語で「HSK6級リスニング試験は三つの部分に分かれ、計50問です。これから試験を開始します」とアナウンスされます。




以降も同様にすべて中国語です。







すでにHSKを受けたことのある方ならご存じのとおり、問題文が一切記載されていません。
ですから先も申し上げたとおり、最初に設問が何であるかを知っておかないと、それだけで貴重な時間を使って頭をひねってしまうことになりかねません。




以下にその設問を具体的に解説いたします。




第一部分 文の内容に関する問題



短文が放送されますので、その内容と一致するものを4つの選択肢から選んでください。(1-15)







上が実際の音声ですが、第一部分は短文です。
これはHSKではおなじみ「笑话」問題のようですね。







1問目は『HSK6級合格のための試験対策ポイント』のその3『リスニング問題は音声が流れる前に選択肢を見ること』でも述べたとおり、
問題用紙の「A 他们去动物园了」「B 他们遇到了老虎」「C 生物学家吓晕了」「D 经济学家一直在跑」の選択肢を見ておいて音声を聞けば、
「D 经济学家一直在跑」が正解だと気づく確率は高くなります。




第二部分 会話の内容に関する問題



2人の会話とその内容に関する複数の問いが放送されますので、問いの答えとして正しいものを4つの選択肢の中から選んでください。(16-30)







ご覧のとおり、第二部分の問題は第一部分よりぐっと長くなります。







この部分もリスニング問題の音声が流れる前に選択肢をさっと確認してください。
同じく『リスニング問題は音声が流れる前に選択肢を見ること』でも述べたとおり、「第16到20题是根据下面一段采访」と選択肢の範囲がアナウンスされますので、解答用紙にその範囲を〇で囲み、
選択肢を見ながら会話の音声を聞いてください。




第三部分 長文の内容に関する問題



まとまった長さの問題文と、その内容に関する複数の問いが放送されますので、問いの答えとして正しいものを4つの選択肢から選んでください。(31-50)







この部分も『第二部分の会話の内容に関する問題』と同じ要領で解答することをおすすめします。







二、読解問題




(時間:50分)




読解問題は音声がなく、ご覧になっていただければご理解いただけるとは思いますが、
どんな対策が必要かも含めまして解説させていただきます。




第一部分 誤りのある文を選択する問題



語句や文法上の間違いがある文を4つの選択肢から選んでください。(51-60)







これは単語力や文法力を直接試される問題ですが、注意していただきたいことがあります。




それは、この部分にあまり時間をかけないことです。
すぐに解答できなかったら、後回しにしてください。




結構難しいので考え込んでしまいますが、
ここで時間を使うと、後により時間を使う長文問題である第三部分、第四部分への時間配分に大きく影響するからです。




第二部分 空所補充問題



文中の空所部分に、4つの選択肢から適切な単語の組み合わせを補って、意味の通る文を作ってください。(61-70)







これも単語力を問う問題です。
常用単語5000語のうち、かなりの部分を理解しておき、
前後の文脈を見れば、正しい答えが導き出されるはずです。




この問題も後の長文問題のことを考えて、あまり時間をかけない方がベターです。




第三部分 空所補充問題



長文中の空所部分に5つの選択肢からそれぞれ1つずつ適切な文を補って、意味の通る文章を作ってください。(71-80)







この第三部分から長文地獄が始まります。




第一部分と第二部分は短時間で終わらせるか後回しにして、余裕をもって臨みましょう。




こういった問題は普段から長文に接していれば、
焦ることなく冷静に前後の文脈を見て、解答できます。




第四部分 長文読解問題



長文とその内容に関する複数の問いが与えられていますので、問いの答えとして正しいものをそれぞれ4つの選択肢から選んでください。(81-100)







この問題に挑むにあたって、本番前に長文耐性をつけておくことはもちろんのこと、
長文を読み始める前にまず設問の内容を確認してから読んでください。




長文を読んでから問いを見るよりも、先に設問を知ってから読んだ方が答えを導き出すのが圧倒的に早いからです。




三、書写(作文)問題




(時間:黙読時間10分;書写時間35分)




与えられた文章を10分間黙読し、その内容を400字程度で要約してください。










まず、リスニング・読解問題の問題用紙が回収された後、書写問題用紙が配られます。




書写問題用紙に書かれた文章を黙読する時間が10分間与えられるので、その時間で内容を頭に入れます。
頭の中でビジュアル化してイメージするとよいでしょう。




メモなどはできません。
10分後に文章は回収され、その後35分間で先ほどの文章を400字程度で要約して解答用紙に記入します。
題名もつけなければなりません。
また、文章の内容を複述するだけで、自身の観点は入れてはいけません。




この書写問題では「文頭は2文字下げる」「タイトルは真ん中」などの中国語作文の基本は守ってください。
タイトルは文章の主題に沿った、例えばその文の教訓や結論に沿ったものなどがよいでしょう。
要約は400字以内となっていますが、あまり短すぎると印象が悪いはずですので380文字以上を心がけてください。




また、自分の使ったことのない表現や自信のない表現は敢えて使わない方が得策です。




以上長々と列挙させていただきましたが、HSK6級の問題に関し、詳しくは以下をご覧になるとより詳細にご理解いただけるはずです。




HSK六级真题与答案下载(第一套)




おすすめ教材




中国語口語表現―ネイティヴに学ぶ慣用語






HSK6級合格に有効な参考書があるとすれば、東方書店の『中国語口語表現―ネイティヴに学ぶ慣用語 沈建華 (著)』だと自信を持ってお勧めいたします。




本書は外国人の中国語学習者には難解な口語・慣用語の習得を手助けすることを目的としたもので、中上級者向けの参考書と言えます。




落了地(一段落つく)」「挂不住(恥ずかしくてたまらない)」「一星半点儿(爪の垢ほどの)」「算老几(取り立てて言うほどのものではない)」など比較的常用ですが、辞書には載っていないような500近い口語や慣用表現が対話形式で収録され、対話文以外に例文解釈も掲載されています。




例えば、あるものや人に本来備わっているいるべきものが欠けていることへの話し手の不満を表す「~呢」には、
「没两天,洗衣机又不了,德气得踢了一脚洗衣机,:“全自呢,直就是全不!真是人的玩意儿!”(二日もしないうちに洗濯機が全く動かなくなったので徳鋼は腹が立って洗濯機を蹴り、「何が全自動だ、まるで全不動じゃないか!まったくヒトをだましやがって!」と言った。)
などの例文が二、三ついており、理解がしやすくなっています。




なお、本書にはCDが一枚ついていますが、これは対話文だけが収められています。
例文解釈の音声も聞きたい場合は別冊のCD四枚も買う必要があります。




中国語学習する上で便利なアプリ、サイト




中国語学習している皆さまにこれからご紹介するのは、中国語翻訳者・通訳者である私が仕事でも、普段での学習でも使っているサイトです。
ご参考までにご一読くだされば幸いです。




北辞郎






2021年3月現在で収録語数27万語を超えるオンライン中国語辞典です。
有志によって日々新しい単語が登録されているため、一般的な辞書に登録されていない新語や俗語、はたまた専門用語も収録されています。
また、この北辞郎の辞書編集グループ「辞典幇」に参加して、自分が調べた単語や例文を追加することもできます。
そして何より、編集したり追加したりした単語の数に応じて四半期決算のたびに金銭による報酬が得られます。




Weblio日中中日辞典






約160万語収録の日中中日辞典。意味を用例やピンイン、声調付きで解説するオンラインの中国語辞書サービスです。例文が豊富であるため、詳しい用法を把握するのに便利です。
またHSK6級の学習法として、試験範囲の5000語の用法はこれを使って確認して学習することをおすすめします。




百度百科






このオンライン百科事典である百度百科はウィキペディアを大きく上回る項目が掲載されており、中国国内の事柄ばかりではなく日本では紹介されてはいないような世界の様々な事柄について調べることができます。
当然中国語で書かれていますから、中国語学習に大いに資するはずです。
普段の学習として、興味のある分野(歴史やら科学やら何でもござれです)について検索して読んでみることをおすすめします。




西瓜视频






中国の動画サイトです。
中国だけでなく日本のドラマやアニメも無料で見られることがあり、音声が日本語で字幕が中国語のものは語彙力の強化や表現力の幅を広げるのに大いに役立つはずです。




NHK WORLD RADIO JAPAN 中国語版






NHKが世界に向けて日本のニュースや様々な情報を多言語で発信するサイトで、スマホからも読んだり聞いたりできます。
もちろん中国語もありますし、ニュースは日本ですでに広く報道されているような内容なのでわかりやすく、リスニングの学習にはもってこいです。




HiNative(ハイネイティブ)






HiNative(ハイネイティブ)は、外国語を学習する人のためのQ&Aアプリです。
中国語ももちろんあり、「〇〇は中国語で何と言う?」と質問をすると、日本語を習う中国語ネイティブスピーカーが即座にその答えを教えてくれるという、外国語学習者のためのマッチングアプリです。
逆にこちらから「〇〇は日本語で何と言う?」という質問に答えてあげることもできます。
また、自分の中国語作文を添削してもらったり、その逆も可能なのです。
HiNativeを使うためにはアカウント登録が必要です。
無料でも登録できますので、詳しくはぜひ公式サイト(見出しに記載)をご覧ください。




編集後記




HSK6級はHSKの最高級。
これを取得すれば、中国語の黒帯です。




ですから本稿では、中国を習い始めて1年以上で、HSKはじめ他の中国語関連の検定試験で中級以上を保持している方を対象にアドバイスをさせていただきました。
中には中国語を始めて1年未満でHSK6級を取ってしまう方もいますが、そんな人は百人に一人もいないでしょう。
少なくとも私はそうではありませんでしたし、会ったこともありません。




私はそんな天才以外の99%以上の方々に、無責任なことは言えないのです。




しかし、これだけは胸を張って断言できます。
語学は努力している人を決して裏切らない学問です。
地道に学習に取り組み、定期的に試験を受け続けてステップアップを続ける方ならば必ず6級くらいは受かります。




そして中国語学習は6級を取得したら終わりではありません。
中国語の語彙は5000語どころではないのです。
それ以後は中国語(普通話)を話す中国人となら十分コミュニケーションができるような、本物の実力をつけていきましょう。




空手や柔道で黒帯を取っても、街でチンピラにボコられたら意味がないように、
HSK6級を取っても中国語を十分使うことができなければ意味がないのです。




6級を取得した後は中国語を十分生かせるレベル、
いや、「日本語が分からない中国人上等」「日本人だと最後まで気づかれない」くらいのレベルの達人をぜひ目指してください。




路上のケンカでも無敗の黒帯になりましょう!


執筆者プロフィール

名古屋外国語大学外国語学部中国語学科卒。中国語検定準1級、HSK6級

2015年以来、特許および特許無効審査の翻訳、校閲を担当。中国語翻訳分野の専門は化学と電気。これまで、美術書や拘置所での書簡の翻訳も経験したこともあり、技術関連を中心に幅広い翻訳分野で対応可能な中国語翻訳者