Bilibili(ビリビリ) の歴史と主なユーザー層とは【中国版ニコニコ動画】

中国でBilibiliともB站とも呼ばれるビリビリ動画は、2009年6月に二次元コンテンツ(アニメ、漫画、ゲーム)中心の動画を配信する動画共有コミュニティとして立ち上げられました。

初期は弾幕(画面を横切る字幕)機能によりアニメやコミック、ゲームのコアなファンを引き付けて成長し、
現在ではテクノロジー、教育、エンターテイメント、音MADなどの他のジャンルの動画コンテンツも加え、ライブ配信やイーコマース事業も展開するようになりました。

それらの積極的な拡大により最初期のコアなファン以外にもユーザーを増やし、今や中国の24歳未満の若者に最も影響力を与えるコンテンツ企業に成長しています。

本稿では、そんなビリビリ動画のこれまでの歩みと現状、これからの課題についてご紹介いたします。

創業から現在までの道のり

黎明期(2009年-2010年)

B站の前身はMikufansという動画サイトです。

2009年6月26日、Acfun(A站)のコアなユーザーだった徐逸(ハンドルネーム9bishi)により創設されました。
Mikufansは『初音ミク』からとって名付けられ、日本のニコニコ動画からも多くの動画を転載していました。

ビリビリ動画という現在の名称は中国でも人気だった日本の漫画作品『とある科学の超電磁砲』の主人公・御坂美琴の愛称であるbilibili(ビリビリ)からつけられ、
これはアニメファンたちを“ビリビリ”感電させて引き付けようという狙いも込められているようです。

動画サイトの黎明期において二次元コンテンツの愛好者たちはAcfunに集中していましたが、その当時の技術水準はまだ未熟で、Acfunは時々接続不良になったっためユーザーからは不評を買うようになっていました。

そんな折、安定した配信を売りにしたMikufansがAcfunの代替動画共有サイトとして登場したのです。

ビリビリ動画の登場は時期にかなっていました。

当時のユーザーのニーズを的確にとらえ、配信が時々不調になるという欠陥を解消し、多くのユーザーを得ることに成功したのです。

2010年2月、Mikufansから bilibili弾幕網と改称したビリビリ動画は当時知名度の高かったUP主を組織して春節イベントの動画を制作して配信。
このイベントは大成功をおさめ、ビリビリ動画の知名度が高まった結果、アニメやコミック、ゲームの愛好者たちがAcfunから移ってくることになったのです。

2010年5月、ビリビリ動画はbilibili娘投票を実施、ユーザー自らにビリビリ動画の看板娘を選ばせることによって、彼らの心をつかむことに成功しました。

成長期(2011年-2014年)

2011年以降、ユーザーが激増したビリビリ動画はアニメやコミック、ゲーム以外にも様々なコンテンツを配信するようになり、多くの90年代に生まれた若者たちに支持されるようになってきました。

2011年と2012年にもビリビリ動画は連続して春節イベントを開催。

このころにはこのイベントでの動画制作に参加するUP主の数も増え、以降この春節イベントはビリビリ動画の毎年恒例となる「二次元春節イベント」としてユーザーの間で定着するようになりました。

2012年10月には第一回弾幕大会を開催。
弾幕を作品とした弾幕芸術とも言うべき文化を根付かせました。

2013年10月5日、ビリビリ動画は上海で初めてのオフラインでのライブを行い、合計800人が現場に集まって乾杯しました。
このオフラインでの活動は現在毎年開催されるようになっています。

この時期までのビリビリ動画はまさに高度成長期で、安定的なユーザー数を獲得。

そして二次元文化のコミュニティーを持続的に運営して、そのユーザーたちの定着率を向上させるためにオンライン・オフラインでのユーザー参加型イベントを開催し、更には広告収入をも得られるようになりました。

成熟期(2015年-現在)

ビリビリ動画は2016年『UP主充電計画』という活動を開始。

『充電』とはビリビリ動画のプラットフォームで投げ銭機能を使って、ユーザー自らがフォロー又は高評価したUP主にお金を払うことです。

このお金はユーザーが実際にお金を払って購入したビリビリ動画のプラットフォーム上で流通するB幣が使われています。

同計画はこの『充電』をユーザーに奨励するもので、UP主に自らの創作作品による対価をもたらすことによって、創造意欲を奮い立たせ、その独立性を維持させることをねらいとして行われました。

そして2018年に行われた『創作激励計画』『新星計画』でUP主にある程度の現金化の恩恵をもたらした結果、多くの専業UP主が誕生することになり、優れた動画作品を世に輩出する一助とすることに成功しました。

ビリビリ動画の現在

ユーザー層

元々二次元コンテンツの愛好者をユーザーの対象にしていたビリビリ動画は、
中国のZ世代(1995年以降に生まれたデジタルネイティブ)のニーズを満たすことに力を注いできました。

その結果、主に若い世代のユーザーの支持を大いに集めることに成功。
そのユーザーたちの出身地域は主に広東、浙江、江蘇省などの先進地域、北京や上海などの直轄市です。

これらの地域は教育水準が高く、新しいものや多様性を受け入れる土壌があるからだと思われます。

現在のところアニメやゲームファンがユーザーの多くを占めている関係から、女性ユーザーより男性ユーザーの方が多いようですが、
それ以外のジャンルの動画を視聴したり、自作の動画をアップする女性ユーザーも増加しています。

商業化

こうしたサブカルチャーコミュニティーの動画に広告やコマーシャルを挿入するなどの露骨な商業化には、ユーザーの反発という大きなリスクがあります。

しかし、ユーザーの喪失を防ぎつつ、会社の経営を成り立たせるためにも商業化はやむを得ない選択でもあることは事実です。

そこでビリビリ動画は自らのコミュニティとユーザーの属性を考慮して2014年からゲーム事業を開始。
このゲーム事業は2017年の総売上高の83.4%を占めるまでに成長し、その他が広告、ビリビリのユーザー会員限定のオンラインショッピングなどでの収入でした。

しかし、2019年度の財務報告ではビリビリ動画の総売り上げ高は増加しており、
そのうちゲーム事業以外の売り上げが2017年度は16.6パーセントだったのが、2020年度の第三四半期には60.3パーセントに激増しました。

サービス内容

従来の二次元コンテンツに加えて、
音楽、ダンス、ライフスタイル、グルメ、ファッション、映画、音楽系MADムービーなどの様々なジャンルの動画も配信。

2016年12月には『中国十大ドキュメンタリー映画推進者』という栄誉を受けたように、ドキュメンタリーの愛好者をもユーザーに取り込み、ユーザーの年齢層や配信するジャンルを多様化させました。

2017年には中国共産党の組織である中国共産主義青年団中央委員会がアカウントを設け、中国国産アニメの躍進を支援するための国産ページを作成しました。

他にもイーコマース事業に手を広げています。

ビリビリ動画の強みと弱み

コンテンツ運営

強み

アニメ、コミック、ゲーム関連の分野では圧倒的な強みがあり、競争力を有しています。またテレビドラマや映画、ドキュメンタリーの分野でもユーザーの需要を十分満たすコンテンツを配信しています。

弱み

動画のコンテンツは主にユーザー生成コンテンツであり、品質は専門のクリエイターに劣らざるを得ず、同じような作品ばかりになるという同質化の嫌いがあるのは否めません。

つまり、こうしたユーザー生成コンテンツの創作者は専門のクリエイターと違い時間的にもコスト的にも制限があるためどうしても良質なコンテンツを出し続けられないのです。

オンライン・オフラインでのイベント

強み

大型ライブビューイングイベント「Bilibili Macro Link」や前述の春節イベントなどビリビリ動画を象徴するようなイベントが確立されたことにより、多くのコアなユーザーを獲得。

ユーザーの中から意欲的に創作を行って投稿するUP主も現れ、広告収入も得られるようになりました。

弱み

それでもイベントの入場料などはやや高額であり、主な対象ユーザー層はアニメなどの二次元の愛好者に限られているのが現状です。

ユーザー管理

強み

登録を希望するユーザーには試験を課して正式な登録ユーザーを選抜するという戦略によってユーザーやコンテンツの質を維持し、コミュニティの健全性を守っています。

そしてビリビリ動画の持ち味である弾幕機能やコミュニティの雰囲気は新たなユーザー層を引き付け、コンテンツの多様化をもたらしてもいます。

弱み

ただしユーザーは低年齢層が中心であり、無意味で低俗な弾幕コメントを発信したり、他のユーザーを挑発したりする行為も目立ち、
それを見た他のユーザーからレベルが低いプラットフォームだとという印象を持たれかねません。

またこれらの低年齢のユーザーの中から新しいUP主が現れても動画制作の経験に欠け、一定数のフォロワーもつかないことから、創作する意欲がくじかれてしまうこともあるようです。

まとめ

今やビリビリ動画は若い世代に大いに支持され、新たな機能を追加するなど拡張路線を順調に進んではいますが、ここへきて動画の質が下がり「初心を忘れているのではないか」という声も聞かれるようになってきました。

今後は新たなニーズをくみ取りつつ、古くからのユーザーもつなぎとめることこそ課題なのかもしれません。

ビリビリ動画の今後の課題の一つとして、いかに商業化を推進して拡大するかがあります。
これにはすでに保有する会員限定のイーコマースの機能をいかに整備して、その強みである膨大な若年層のユーザーを引き込むかにかかっています。

また、動画制作のノウハウを教える講座を実況配信機能により有料で教えるユーザー生成コンテンツの充実も提案されています。

今後、サブカルチャーの分野の枠を超えて躍進するには、やはり良質なコンテンツの生成が欠かせません。

これには『創作激励計画』や『新星計画』以外に、日本の漫画雑誌の漫画新人賞のようなものを設けて、新人UP主の創作意欲を刺激、奨励するのも一つの手段という意見もあります。

それによって新たな才能を発見し、次の時代の主役とするべく育成するという成功モデルは日本の漫画産業ですで実証されているからです。

今後のビリビリ動画の躍進は、こうした既存のモデルと新たな発想の最適な組み合わせが必要とされているのかもしれません。

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