【中国トレンド】ラッキンコーヒー最新作から学ぶビジネス勝利のカギ

中国では5月のゴールデンウィークを前に、振替出勤日で4月23日の日曜日は出勤日でした。出勤2日目なのにまだ月曜日…!そんな憂鬱な中国の若者の心を掴んだのが、中国で急成長中の「ラッキンコーヒー」です。

ラッキンコーヒーとは

スマートフォンのアプリで注文すれば、店頭で並ばずにコーヒーを受け取れる。そんな中国のカフェでは当たり前となりつつあるビジネスモデルを確立したチェーンです。カーシェアリングサービス「CAR Inc」(神州租车)などを起業した陆正耀氏が2017年10月に創業し、短期間で急成長を遂げています。

2017年10月に第一号店が開店したのを皮切りに、14カ月目に2000店舗、21カ月目に3000店舗と店舗数が急拡大しました。また米国でナスダック(NASDAQ)上場を18カ月で達成します。2020年にナスダック上場廃止などで失速しますが、2021年には黒字転換を果たし、その後も成長を続けています。

「摸魚」と名付けただけで爆売れ

そんなラッキンコーヒーが4月24日月曜日に発売したのが、「摸魚生椰拿鉄」。

生椰拿鉄とはココナッツミルクを使ったラテで、中国のココナッツラテブームを牽引した同ブランドの主力商品となっています。

さらにこのラテにスーッと冷たさを感じるブルーのドリンクベースを追加した「冰吸生椰」が4月中旬に発売され、日本の人気キャラクター「ドラえもん」とのコラボレーション商品として打ち出され人気を博していました。

摸魚生椰拿鉄はその冰吸生椰に魔芋(こんにゃく)の粒を追加した“だけ”の商品です。このこんにゃくの中国語と発音が似ている摸魚と名付けただけで、ネットで話題になり発売当日にもかかわらず多くの販売量を記録しています。

摸鱼 mō yú 油を売る、サボる、手を抜くと言う意味で使われるネット用語です。仕事をサボる、といった場面で使われることが多いです。

お分かりでしょうか。出勤2日目の月曜日を迎えた中国で発売された、いわば「おサボりラテ」。仕事には行くけど、ちょっとサボりたい…手を抜きたい…そんな多くの若者の気分を見事に代弁したネーミングだけで、ラッキンコーヒー側が“手を抜いて”既存商品をほとんど変化させずに、購買力を掻き立てることに成功した訳です。これにはお見事と言わざるを得ません。

成長し続けるビジネスモデルから学ぶ

2020年、ラッキンコーヒーは77品目の新作を発表しました。そして2021年は113品目、2022年は140品目と新作の数をどんどん増やしており、これはその他のコーヒーブランド、ドリンクブランドをはるかに超える数量です。近年の傾向から予測するに、2023年はさらに多くの新作を発売することが予想されます。

ラッキンコーヒーから学べることは、今の若者の気持ちを正確かつリアルタイムに掴むことが勝利のカギだということではないでしょうか。