【中国トレンド】“囲炉煮茶”-囲炉裏でお茶を楽しむ若者が急増中!?

カフェが急増する中国ですが、その一方で中国茶もいろいろなブームが起きています。中でも今回ご紹介したいのは今冬急に流行した「囲炉煮茶」です。

囲炉煮茶とは

文字通り、囲炉裏でお茶飲むという意味で、炭火でお茶を煮ながらおやつを焼き、食べながらお茶を楽しむというレジャーの一種を指します。

中国ではお茶を飲みながら会話を楽しむお年寄りは多く見かけますが、この文化が今若者の中で大流行しているのです。それでは大ブームの囲炉煮茶について紐解きましょう。

どんな楽しみ方をするの?

七輪や囲炉裏などでお茶を沸かしながら、茶器の周りのスペースでおやつを焼きます。そこで焼かれるおやつは干し柿やサツマイモ、トウモロコシ、ナツメなど伝統的なものから焼きマシュマロまでさまざまです。そこでゆったりと会話を楽しむのが若者たちの新しい社交スタイルとなっています。自分で用具を揃えて郊外に出かける人もいれば、茶室が囲炉煮茶コースを売り出したり、中には専門店も出現しています。

どれだけ流行っているの?

2023年1月初旬時点で、「囲炉煮茶」というキーワードで中国SNSを検索すると、Red(小紅書)で関連記事が18万件を超え、Douyin(抖音)では関連動画の再生回数が50億回を突破し、ウェイボーでの話題の閲覧数は4440万件を超えています。

囲炉煮茶の由来は?

もともとは雲南省の火塘烤茶(huǒtáng kǎochá)に由来します。火塘は囲炉裏のことで、烤茶というのは少数民族の伝統的なお茶の飲み方で、焙り茶と訳すことができます。 烤茶罐という専用の容器の中に茶葉を入れ、囲炉裏に置きときどき揺すりながら焦がさないように煎じます。その後、沸騰したお湯を注ぎ再度囲炉裏の中に置き茶葉が入ったまま香りがでるまで沸騰させる。そして湯呑に注いで飲みます。

なぜ流行っているの?

近年は中国の伝統文化を取り入れた「国潮」がファッションなどを中心にブームになるなど、中国文化に誇りを持つ流れが起きています。さらに中国の若者は常にSNSでバズる新しいモノゴトを探し続けています。ゆったりとお茶を嗜むその楽しみ方そのもの以外に、伝統的でかつ新しさもあり、さらに写真や動画映えする囲炉煮茶が若者の心を掴んだのでしょう。またコロナ禍の2020年以降、密を避けるキャンプなどの屋外レジャーの人気が続いていることも、屋外で七輪を囲む囲炉煮茶ブームに影響していそうです。

また前記事でご紹介した「マーダーミステリー」に同じく、囲炉煮茶に癒しを見出している人も少なくありません。毎日競争に追われ、ペースの早い毎日を送っている中国の若者は、スローな暮らしに憧れています。暖かい炎を囲んでお茶を飲んでいると自然と会話が弾むーーそんな囲炉煮茶がもたらしてくれるのは、日々一生懸命働く中国の若者が今まさに求めている癒しの時間なのです。