中国越境ECを攻略しよう!その1【中国市場分析と成功例】

越境ECを攻略しよう!その1 ビジネスモデルと成功例

「中国に向けて商品を販売したい!でも、中国に店舗を出す資金はない。」そんな方には、越境ECでの販売がおススメです!

中国のオンライン市場は日本とは比べ物にならないほど規模が大きく、現在も驚くべきスピードで成長を続けています。

中国連鎖経営協会徳勤中国連合が公開したデータによると、2021年のオンライン総売上額は13兆人民元(約260兆円)で、
これは中国総売上額の24.5%に及びます。

日本のオンライン市場は20兆円に満たないので、単純計算で日本の13倍以上の市場規模があることになります。

越境ECを利用すれば、日本に居ながら、この大きな市場でビジネスを展開することが出来るのです。

このチャンスを逃す手はありません。今回は、この越境ECについてご紹介いたします。

1.越境ECとは?

越境ECのECとは、”electronic commerce”(エレクトロニックコマース=電子商取引)の略称です。

つまり、越境ECとは、自社サイトやECモールなどを通して、国境を越えた先にいる海外の消費者に商品を販売することを指します。

越境ECのビジネスモデルは大きく分けて6種類あります。

越境EC ビジネスモデル

(1)国内自社サイト

日本国内で自社サイトを運営し、サイト内の言語を多言語化することで、海外からの集客を増やすビジネスモデルです。

商品は国際配送サービスなどによる直送、または転送サービスを活用して配送します。


(2)国内ECモール等出店(出品)

日本国内で越境ECに対応したショッピングモールなどに出店または出品するビジネスモデルです。

商品は国際配送サービスなどによる直送、または転送サービスを活用して配送します。


(3)相手国ECモール等 出店(出品)

相手国のECモールやECサイトに出店または出品するビジネスモデルです。

ECモール、ECサイト運営事業との交渉が発生するため、専用の代行会社によるサポートを得るケースが多いです。

商品は国際配送サービスなどによる直送、または転送サービスを活用して配送します。


(4)保税区を活用した出店 (出品)

保税区に指定された域内の倉庫に予め商品を輸送しておき、受注後、保税倉庫から配送するビジネスモデルです。

保税倉庫は中国向け越境ECでよく活用されており、中国の保税区からの発送であるため、直送と比較し配送期間が短くて済むメリットがあります。


(5)一般貿易型EC販売

一般貿易同様に、国内の輸出者と相手国の側輸入者との間で貿易手続きを行い、相手国側のECモールやECサイトで商品を販売するビジネスモデルです。

一般的なBtoB型貿易において販売チャネルとしてECを活用するスタイルです。


(6)相手国自社サイト

相手国側で自社サイトを構築するビジネスモデルです。

既に相手国において自社商品が浸透し、かつECサイトの運営を自社でコントロールできる体制が必要です。



このように一言で越境ECと言っても、さまざまなスタイルがあります。

ですが、(1)のようなビジネスモデルの場合、日本国内のサイトはあくまで日本人がターゲットであるため、海外からの集客数には限界があります。

どの事業モデルを選ぶかは自由ですが、中国ビジネスで売上を伸ばしたいなら、最終的には中国ECモールへの出品を考えるべきでしょう。

Taobao、Tmall、JD.comなどを代表とする中国ECモールは利用者が多く、集客力は絶大です。

実際、中国では認知度0の無名ブランドが、中国人の目の届くところに商品を出品することで、徐々に売れるようになり、最終的に人気ブランドにまで成長したという事例もあります。

そうは言っても、やはり商品が売れるかどうか不安という方が多いと思います。

ですが、ご安心ください!いきなり大量に商品を輸出して、失敗のリスクを負う必要はありません!

まずは、越境ECで少量の商品を販売して様子を見ましょう。時間をかけてブランドの認知度を高め、売れ行きが良くなったら、次は多めに輸出するなど、自由に販売できるが越境ECの魅力の1つです。


2. 中国のEC市場規模

2020年7月に経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2019年の国別のBtoC-EC市場規模は、中国が1兆9,348 億USドル、続いてアメリカの5,869億USドル、イギリスの1,419億USドルでした。

国別EC市場規模

中国の市場規模の大きさが際立っており、第2位のアメリカとは3倍以上の開きがあります。

そして注目すべきなのは、中国のBtoC-EC市場規模の成長スピードです。他の国は2019年の成長率がほぼ横ばいなのに対し、中国の2019年の成長率は27%を超えています。

次のグラフは、世界のECマーケットプレイスの流通総額が大きい順に整理したグラフです。

プラットフォーム別流通総額

Taobao、Tmall、JD.com は中国、その他は全てアメリカのマーケットプレイスです。

このグラフより、Taobao、Tmall、JD.comの流通総額は1兆2060億で、中国のECマーケットプレイスが世界の流通総額の70%以上を占めていることが分かります。


3.中国越境EC事業の成功例

(1) ヤーマン株式会社

美容家電のパイオニアであるヤーマン株式会社は2015年12月に中国の越境ECサイトである天猫国際(Tmall Global)に旗艦店をオープンしました。

2017年11月11日(土)の中国「ダブルイレブン」には、美顔器「RFボーテ フォトPLUSハイパー」と脱毛器「レイボーテ スピーディスムース」をセットにした「カップルセット」を販売し、大成功を収めました。

商品単体で見ると、美顔器「フォトプラス プレステージ S」は、推定売上高:4.96億円を記録しています。

カップルセットの他にも、単品で販売した美顔器、美容ローラーなども好調に推移し、ダブルイレブンのトータル販売実績は対前年比66%増となりました。

その日、コスメ部門の中の電子美容機器のカテゴリにおける販売実績第 1 位を獲得しました。

ヤーマン株式会社が売上を伸ばせた要因は2つあります。1つは、商品がニーズにマッチしていたことです。

当時、天猫国際(Tmall Global)の市場において電子美容機器のカテゴリの需要が伸びており、そこに日本製の高品質な商品を提供することが出来たことで、たちまち人気となりました。

もう1つの要因は、ライブコマースを上手く利用することができたことです。ライブコマースとは、ECサイトとライブ配信を組み合わせた販売形態で、視聴者とコミュニケーションをとりながら販売することで、効果的に販売促進を行うことが出来ました。


(2) 旭酒造株式会社 日本酒「獺祭」

「獺祭」は中国において、約14年前から一般貿易での輸出販売を実施しており、中国のスーパーや日本食レストランなどでも販売されているため、認知度が非常に高いブランドです。

2018年1月から、Inagora株式会社が運営する「豌豆公主(ワンドウ)」という越境ECプラットフォームでも販売を開始しました。

中国にはもともと日本酒を飲む習慣はなく、ターゲットは日本文化や日本食が好きな一部の中国人に限られるため、日本酒の販売は困難を極めます。

他の日本酒ブランドが不調のなか、「獺祭」は越境ECで安定した売上を獲得しています。

要因としては、越境ECは一般貿易に比べて通関などの手続きが容易で、ユーザーがより適正な価格で商品を購入できるため、スーパーなどで購入していたユーザー層が越境ECでの購入に流れたことが挙げられます。


(3) 株式会社かならぼ ヘアケア商品「Fujiko」

化粧品ブランドである「Fujiko」は、2016年に立ち上がったブランドで、日本でも広く認知されています。

2017年頃から天猫国際(Tmall Global)などのプラットフォームで販売を開始しました。

中国で爆発的にヒットした商品は「フジコポンポンパウダー」というヘアケア商品で、中国には類似商品が少なかったため、新しいニーズを喚起することができました。

成功の要因は、KOLを上手く活用したことです。KOLがライブコマースで商品を実際に使用しながら販売することで、視聴者の購入意欲をかきたてることに成功しました。

商品の使い方がシンプルなため、ライブコマースとの相性がよかったと考えられます。

チャイブラリー編集部まとめ

いかがだったでしょうか?

越境ECビジネスは参入のハードルが低く、少量から販売を開始することが出来ます。

市場を分析することはもちろん大事ですが、何がヒットするかは、実際にやってみなくては分かりません。

100の商品があれば、100通りの戦略・戦術があります。

あなたの商品に合ったプロモーション方法で中国越境ECビジネスを攻略しましょう!



引用:

https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003-1.pdf

https://new.qq.com/omn/20220728/20220728A07MPV00.html